読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

昔話

曾祖父と御前相撲

母方の祖母・みっちゃんの父、つまりわたしの曾祖父・Aは、帝大教授のかたわら内裏勤め人でもあり、彼の直上の上司は明治天皇であった。 ある夏の日、納涼相撲大会が御前で催され、優勝したAに明治天皇が「なにが飲みたい?」と聞かれた。 暑いなか、激しい…

曾祖母とヴァイオリン

母方の曾祖母・Nが切り盛りしていた洋楽器店の話をしよう。当時、東京には洋楽器店といえば、この一店だけであったので、外遊する以外にヴァイオリンなどを手に入れるとなると、人々はここに品物を見に来ることが大半であった。そんなわけで、ほとんど店に…

曾祖母の桐箪笥

さて、母方の祖父の頑固で癇癪持ちな性格は、彼の母、つまりわたしの母方の曾祖母から来ている。彼女は祖父の100倍くらい頑固で癇癪持ちであり、つまりは相当に周囲を手こずらせた人物であった。しかし、そんな彼女も、若い時からそういう性格を存分に発揮し…

祖父とゴシップ

わたしは父方の祖父を知らない。父自身も、彼が三歳のときに亡くなったという彼の父を、知っているとはいいがたいのだろうと、彼がいわゆる「父親モード」というハビトゥスを身につけていないことから、思う。それはおいといて。祖父は血圧が高い人物だった…

祖父と貸金庫

まだ貸金庫というものが一般的ではなかった頃、母方の祖父・Fが貸金庫を借りようと、以前教えた生徒をつてに、某銀行へ赴いた時のこと。「どなたか保証人の方はいらっしゃいますか?」と、言われた祖父は、なにがカンに触ったのか、あるいは勘違いしたのか…

祖母と人力車

母方の祖母の父、すなわちわたしの曾祖父・Aは病弱で、冬になると何度となく風邪を引き、人力車を呼んでは医者に行っていた。 そのころ、幼児だった祖母は、「人力車に乗る」ということがうらやましくてたまらず、毎回「みっちゃんも行くぅ〜」と騒ぎまくっ…