読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

映画

『エヴェレスト 神々の山嶺』@立川シネマシティ

『エベレスト 3D』が客観的な映画なら、こちらは主観的な映画。怖いのは山ではなく、山に執着する山ヤの業なのがよくわかるホラー映画であり、絵面的・熱さ的に登山BLでもあり。そもそもBL展開向けの材料が多すぎ。深町が声もなく泣きながら羽生の写真を焼く…

『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』@立川シネマシティ

せつなかった。脳の老化と闘う93歳のホームズを、70代後半のイアン・マッケランが演じる。真田広之演じる梅崎が、ホームズを日本に呼び寄せた魂胆が明らかになるにつれ、広島の爆心地に連れて行き、そこに生えている山椒を持ち帰らせた意味を考えてしまう。…

『江戸川乱歩の陰獣』@神保町シアター

キャストも贅沢なら脚本もカメラもよく、和服も山の上ホテルや横浜グランドホテルも眼福の、黒蜥蜴の習作のような、原作より乱歩っぽいくらいの一本。探偵の推理作家役に若くて可愛い柴犬みたいなあおい輝彦。わたしの好みではないけれど、ああ、これはそう…

『Maiko ふたたびの白鳥』@恵比寿ガーデンシネマ

初っ端から泣かされる。いやー、これはズルい始まり方! しかし、シビアなバレエの世界を語るしっかりした西野麻衣子=マイコの声と、レッスン中のきっちり上がってる胸筋や横隔膜のプロな身体、舞台袖で気合入れるためにマイコが自分の太腿をぱしーんぱしー…

『ジプシーのとき』@恵比寿ガーデンシネマ

新装なってから初の恵比寿ガーデンシネマ(売店でおしゃれイートインし忘れた)のクストリッツァ特集で『ジプシーのとき』。『アンダーグラウンド』のようなファンタジックな描写はほとんどなく、ロマとマフィアがかっこ良くなく容赦無く描かれる、土ぼこり…

『神なるオオカミ』

ジャン・ジャック・アノーが監督した中仏合作映画『神なるオオカミ』(英題:Wolf Totem)を見てきた。原作のあることを知らなかったのだが、調べたら原作の方が圧倒的におもしろそう。……というか、うっすら読んだ覚えが。しかし、現在は絶版の模様。上下巻…

『ボクは坊さん。』

渋谷のロードショー館での最終日に(わたしにしては)早起きして滑り込み鑑賞。軽いタッチの映画かと思っていたら、けっこう深く切り込んでくる映画で、途中からぐすぐす泣いてました。最初の方の高野山大学の興味深い授業と放課後のエピソードが終わってか…

『エベレスト 3D』

久々に3Dメガネかけての映画鑑賞。登山映画の恐怖は3Dでも角度とかセオリーはあんまり変わりませんね。そして登山でのミスは、登る山が高くても低くても ・時間厳守 ・装備はきちんと使う の基本を怠ることに尽きるなと。わたし自身はいちばん高く登ったのが…

『ハーモニー』

対話によってではなく、完全な管理でしか平和を保てないなら、万物の霊長などと言う資格はもはやない。これは原作を読んだときにも思ったこと。そして、humanを人間と訳した明治の人、ありがとう。そう、人間性はホモサピエンスのヒト単体には発生しにくい。…

『屍者の帝国』@TOHOシネマズ新宿

入場者プレゼントです、と栞をもらったのだが、まさかキャラデザイン表でいちばん違和感のあったこの人をこのイラストレーターが描くとは。違和感は、あの時代に服を着ているにもかかわらずのあのお胸のラインなのですが。それはともかく、映画版『屍者の帝…

『キングスマン』@立川シネマシティ

おっさんのスーツと眼鏡姿でのスパイアクション、エロくて最高! 世界を平和にしたい動機が自分の家族っていう地に足着いたリアルが身に沁みる。あとあのパグの活躍シーンがあれば最高! そして音楽の使い方がベタすぎてむしろ何かを超越してた。とくに「威…

『ルンタ』@渋谷シアター・イメージフォーラム

18日に渋谷シアター・イメージフォーラムで上映の始まった、チベットのドキュメンタリー映画『ルンタ』を、今日、ようやく見てきた。整理番号2番で入ったのに、心が千々に乱れ、シアターから出るのが最後になり、偶然にも次の回で入ってきた友人に肩を叩かれ…

押井映画の手触り

ふと思い出した。会社のおじさま社員にだいぶ前、パトレイバー映画版1と2を貸したのだが、その感想が、 ・あんなに仰々しく描かなくても解決できる話 ・技術の進歩で事件が古くなってるよね だった。普通の人の押井守映画の捉え方って、これなんだろうなーと…

『ルック・オブ・サイレンス』@渋谷シアター・イメージフォーラム

虐殺者が人格破綻者の怪物かのようにも見える前作『アクト・オブ・キリング』よりコンパクトだが、今作の方が観客の逃げ場がないように思う。共産党員だから、とインドネシアで1960年代に100万人以上を殺した当事者は、いまだに権力の座にある。そこで、自分…

『天才スピヴェット』@渋谷ヒューマントラストシネマ

天才であることと、「自分はいらない子だ」と思い込んでいる10歳であることの孤独が交じり合って、胸を打ちます。天才じゃない観客が感情移入できるのは、誰もが持っている10歳のあのころの孤独を描き出しているからかなあ。すっかり子どもでなくなった観客…

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第6章』

前回、前々回と打って変わって泉野 明特集。一つ目の軍用レイバーとの対決はそれこそパトレイバーの本懐! と萌えますが、それに加えて映画『攻殻機動隊』の自分を人間だと思い込んでるロボットの男の逃げるシーンのパラフレーズが実写で見られて感激!二つ…

『至高のエトワール 〜パリ・オペラ座に生きて〜』

日本ではやらないオペラ座新作バレエやコンテンポラリー作品の数々に、まずもう猛烈に惹かれる。定番クラシック作品より、こういう作品のライブ・ビューイングが行われるべきだと思うんだけどなあ。ルテステュのオペラ座引退公演に、一足先に引退していた名…

『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』@有楽町ヒューマントラストシネマ

邦題が全然合ってない典型例なんじゃ……。このサブタイトルだったら、アルゲリッチが娘のカメラに向かって音楽論を延々、語るのを期待しちゃってもしかたないけど、中身は違うんです。そのせいか、途中で席を立つ人が少々。映画自体は興味深いですが、開幕し…

『まほろ駅前狂想曲』@ユーロスペース

前売り券買ってたのに今ごろ。冒頭、褌姿の麿赤児の素晴らしい肉体美!そして映りまくる町田駅前! 下の方しか映ってないけどそれはジョルナですよね、とか、その坂道の住宅街は玉川学園前では、と懐かしかった。しかしやはり行天がらみで被虐待児の問題を考…

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第5章』

前回の第4章に続いてのカーシャ祭り、最高! 朝日新聞のアニメオタクコラムを書いてる有名なアニメオタク記者さんには滑って失速していて鑑賞がつらかったそうですが、そうかなあ? 後半のカーシャ祭りじゃない方はうる星やつらでのSFドタバタを思い出して面…

『イヴ・サンローラン』

『グレース・オブ・モナコ』でも服飾が楽しみだったけど、時代の重なるこちらは貴族の服にもなり得る服から、働く女性の服、男性のネクタイも襟も(ポロシャツでさえ!)太い再現具合まで質量ともに充実! 街中のシーンでの車両もよく揃えたなーと、ジャンル…

『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』

全俺、ガン泣き。もともとグレース・ケリーは毒親持ち、特に父親の方がひどいということは知られてたけど、そのあたりの話をここに絡めてきますかってとこで泣いた。毒親がリアルな人にとっては、ACがそこから離れて自分の居場所を開拓する話として心に迫る…

『大いなる沈黙へ』@ポレポレ東中野

見る前にカフェオレ2杯飲んだので、長い上映時間中、最後まで膀胱が持つか心配でしたが、トイレへの切迫感もなく、眠り込むこともなく、3時間近く、見入っていました。フォーカスするところが見る人によって変わる映画だろうと思います。わたし自身は父母そ…

『グランド・ブダペスト・ホテル』

エンドロールに流れる音楽や、その画面の隅々まで手の込んだ、工芸品のような映画。美術品のような女優、ティルダ・スウィントンも、ほかの役者たちも、完璧な作り込みでミニチュアのような世界を彩っている。まるで、シュテファン・ツヴァイクに供えられた…

『陸軍登戸研究所』@練馬区役所地下

暑いなか20年ぶりくらいに練馬駅で降りて、『陸軍登戸研究所』を見てきました。ずっと興味はあったのだけど、上映時間の長さと、チラシの、告発しているようでありながらなにかを煽るような衛生博覧会的なコピーの数々に、何度かのチャンスを逃しまくってい…

『マレフィセント』

百合映画っぽいつくりの『思い出のマーニー』予告を見たのもあるかもしれないけど、百合映画でした、『マレフィセント』。どうもごちそうさまでございました。だってラストのオーロラから王子様への笑顔は「ごめんね、わたしは彼女を選んだから」っていうメ…

『テルマエ・ロマエII』@品川プリンスシネマ

テルマエ2は、コロッセオと演し物と観衆の再現などもたまらないものがあり、面白かったです。公開してだいぶ経って、一日二回上映になっても大入り満員! それで、最初は街の見物がてら日本橋で見る予定が売り切れで、品川まで移動しました。そこでも気づけ…

『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章』@新宿ピカデリー

今日は実写パトレイバー第2章を見ると決めてた日! エピソード2のオープニング直前の千葉繁のメガネ的なシバシゲオな決め顔(と言っていいのかw でもあれは千葉繁にしかできないよね!)で一気にテンションUP! そして実写ならではの俳優陣によるギャグの数々…

『世界の果ての通学路』@シネスイッチ銀座

ハラハラして、笑って、泣けて、また笑って、そして自省する映画でした。あと、えっ、インドの三兄弟でその名前? とか、パタゴニアのこんなところにまでこんな祠が! などなど、植民地政策的なキリスト教の進出具合、半端ねーな……、という場面などもあり、…

ジャック・タチ映画祭@渋谷 シアター・イメージフォーラム

イメージフォーラムでジャック・タチの『パラード』。強烈にクレージーキャッツを思い出す、大人が本気でバカやる自由で粋な笑いの世界。終演後の舞台に上がり込んだ子どもたちと、それを見る客席の大人たちのラストシーンで涙。撮影時の1973年と、1969年生…