「Howling in the Night2006〜押井守、《戦争》を語る」
雨だったので、防水爪皮つき下駄でお出かけ。今年も一泊二日のゼミ合宿のような濃度の押井守祭でした。そして、書く仕事を終えたばかりのせいなのか、ラ・ロシュフコーの箴言ばりの名言が次々と。以下、このイベントのお約束の口外禁止事項には触れないと思われる、押井監督名言。
・戦争に勝つにはモラルを踏み越えなければならない。しかし、戦争に勝った側はモラルを守護しなければならない*1
・戦争と恋愛の相似は主に以下の3点である。理性の欠如。制御のきかなさ。そして、現状を更なる幸せのために打破する、という初期の理想が最終的に叶えられることはほとんどなく、逆にたいていは不幸をもたらす、という点*2
・おれは30以下の女には興味ないんだよ!*3
などなど、あまりの濃さに去年と同じくふらふらになり、司会で、オープニングの超かっこいいムービー*4を制作された野田さんにご挨拶しようと、似た後姿の方に声を掛けたら別人で、謝って帰って来ました。野田さんに間違えられた方、本物の野田さん、ご挨拶できず、すみません。そして、ありがとうございました&お疲れさまです!
- 作者: 押井守,落合淳一
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映像としては、もうすぐ公開の『立喰師列伝』の予告編数種類と、今日のために編集されたメイキングという、まさに涎の出そうな*5だしものがあり、早く4月にならないかな、とわくわくさせられました。
そういえば、会場の40階から降りてくる際、去年、三島由紀夫について質問したイケメンさんと一緒でした。それから連れとふたり、餓えてたので、向かいの中国飯店にて、棒々鶏のソースにパプリカを感じ、おこげのあんに染み出したマッシュルームの滋味にとろかされ、小龍包のスープとかに味噌が口の中で跳ね回ったあとに、酸辛湯がじわじわと染み込み、大根パイの皮が良質のごま油で練られている香りでノックアウト。おなかぱんぱんで帰宅。
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ちなみに、開演直前に西島大介イラストの犬Tシャツ予約して、世界一高い立喰蕎麦屋で、かけのネギ抜きをかっこみましたが、こんなにおなかがすいてしまうのは、500人以上を4時間超惹き付け続ける押井パワーに充ち満ちたあの空間にノートも取らず座っていると、脳をフル稼働せざるをえないせいだと思います。
*1:ということは、戦地と占領地でのダブルバインドないしは戦後の価値観180度転換が、戦士の戦争後遺症をより昂進するのではないか?
*2:ラ・ロシュフコーの「太陽も死も、じっと見つめ続ける事は出来ない」とかに通じるものを感じます。でも、都合の悪い事はぜんぶ忘れてしまうという押井監督だから、もしかして似たような元ネタがあったりして…。『立喰師列伝』の紙芝居アニメ化に関しても、原作小説の連載が始まった際、『ミニパト [DVD]』の西尾鉄也さんが「これ、ミニパト方式で映画化したらおもしろいんじゃない?」と言ったことも完全に忘却されていた監督でしたから。
*3:補足説明:安藤美姫の名前を出されて荒川静香と取り違えたことをツッコまれて。
*4:でも、もう少し長く今年のメインビジュアルの水没ヒルズ動画を見ていたかった。
*5:メイキングで制作に関わる方々が教えている複数の大学の学生さんたちが、実際に作品作りに参加するという、例を見ないインターンシップ状況を見たのも、また垂涎でした。学生の身で押井監督とサシで仕事ができるなんて!