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アララトの聖母

夕方から今週末に見られるとは思っていなかった、『アララトの聖母』を見られることになり、急いで支度し日比谷へ。すると上映館が変わっていた。ひさびさに「単館」の雰囲気で映画を観るのかー、とちょっと楽しみだったのだが。

映画は、個人の範囲を超えた規模の、民族と言う単位での喪失感というものが、こういうふうに実際には共通体験を持てない間柄でも伝えうるんだなあ、というのが静かな衝撃だった。

静かじゃない衝撃としては、中国が通州事件に触れないように、トルコが「なかったこと」にしているというアルメニア人大虐殺という事実について知ったこと。

そのほかの衝撃としては、米文学の作家、サローヤンアルメニア系(〜ANというのがアルメニア系のラストネームの特徴だそうだ)であり、さらにシャルル・アズナブールがアルメニア系であり、〜ANという元の名前から変名するにいたったどんな事情が、と思いを馳せたことなど。

今はこうして言語化しているが、観た直後はとても衝撃的で、波にざばざば洗われているような感じで、連れに感想を求められたが、なにも言えなかった。