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『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』

とことこと出かけてったら、今日は映画の日で誰でも1,000円ということで、かなり混んでました。

ところでこの「人生のメビウス」って副題、映画配給会社によるひじょ〜に恣意的な名づけ方で、少なくともわたしはこれを観て「メビウスってるなあ」なんぞとは思わなかったです。ちなみに原題の副題は「The Trumpet」のみ。ってことは、姉妹編の「イデアの森」もなんか楽器の名前とかが本来の副題なんだろなあ。

この映画では冒頭に、鴨長明の「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止まる事なし。世の中にある人と栖と、またかくの如し。」と、1,000年を隔てつつも、しばしば対比して語られることの多いマルクス・アウレリウスの言葉が冒頭に掲げられています。

これは、この映画におけるそれぞれ10分ずつの「人生」は、川のように流れ行くだけ、という宣言であって、それぞれの人生がメビウスったりしない、という設定は明白だと思うのですが。

さて、「イデアの森」よりも先にこっちを観ようと思ったのは、上映館が近いこともありますが、監督達のラインナップがわたしにとって、ミーハーにもキャーキャー言いたいようなものだったから。

二つ目のお話の監督は、『ミツバチのささやき』のビクトル・エリセ、四作目は「さいきん、なにしてるんだろうねえ?」と話していたばかりのジム・ジャームッシュ、その次はヴィム・ベンダースと、好きな監督ばかり続きます。

で、観終わると、そのほかの監督の作品もすべて捨てがたくおもしろかった! まず、口火を切るアキ・カウリスマキ、ゴアとブッシュの選挙戦をスピーディに描くスパイク・リー、地球最後の石器生活人たちの現在を映すヘルツォーク、開発で変わり続ける街のおとぎ話を小品にしたチェン・カイコー

うーん、こんなの1,000円で観れちゃうなんて、なんてラッキー!