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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『VOGUE NIPPON』 March 2004 No.55

浅田 彰のアート評って好きなんだけど、今月のヴォーグニッポンでのシルヴィ・ギエムへのメッセージには、改めて感ずるところがあった。機械仕掛けの人形のように正確に踊られると、人形に抱いてしまうようなエロスを感じてしまう、というのはわからなくもない。わたし自身、ギエムがビデオの記録用に踊った黒鳥のあの回転を観たときは、「完璧すぎて、CGみたい」と思ったのだから。ちなみに、わたしはよくできたなめらかなCG動画にある種のエロスを感じるクチです。

ところで今号のV/Nには香水のプロモーションで美容ライターが小説を書いている。目次ですでにそれがベタ誉めされていて、編集者の姿勢としてそれってどうなの、と思う。まあこの分野じゃ女帝だからね。でもなにか書いてあるととりあえず目を通しておかないと気になるタチなので、そこまで持ち上げるほどのことか確かめる魂胆もあって読んでみる。

うーん、これは香水出してる側がこのライターに小説発表の機会を与えたとしか思えないなあ。「この」香水のプロモーションになっているとは、とても言えない。一般的な香水イメージしか感じられないのよね。

でも、「パワーダウンしてると香水をつける気にならない」みたいなことが、働く女の定理みたいに書かれていたのには、ちょっとそうかも、と同感。考えてみると、ここ2ヶ月、職場に香水つけてったことってほとんどなかったから。いや、いつも目の端で香水壜を捉えてはいるんだけどね、手が伸びない、という。香りの存在感に自分が負けてしまうようなダウナー加減だったのだろうと思われ。

そういえば浅田の『ヘルメスの音楽』、文庫になってたんですね。『GQ』かなんかに連載してるときに、何度か読んでおもしろかったから、買おうかな。でも、お値段が文庫じゃないんだけど(笑)