読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

亡国の義務教育

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200408070320.html
義務教育6・3制を弾力化、地域の裁量認める 文科相

 河村文部科学相は、50年以上続いてきた義務教育9年間の分割方法「6・3制」を市町村が独自に変更できるようにすることなどを盛り込んだ義務教育制度改革案をまとめた。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20040809it02.htm
河村文科相が義務教育改革私案、「6・3制」弾力化

(前略)現行の学校教育法で、あいまいになっている義務教育で習得すべき学力目標を具体的に定め、小中の枠にとらわれない義務教育一貫での学力養成を打ち出す。

 教員免許の更新制については、大学などの教職課程履修者に自動的に付与され、終身資格である現行の免許制度を改める。10年程度で更新し、その都度、指導力が不足している教員の免許更新をチェックする考えだ。教員養成の専門職大学院設置も提唱している。

 文科相が改革私案をまとめたのは、地方の自由度を拡大する改革を進め、三位一体改革で焦点になっている義務教育費国庫負担制度堅持をアピールするためと見られる。

ようやく大正新教育の果たせなかった夢が実現か?! しかしその後、こんなニュース↓が… 
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt24/20040809NN002Y38209082004.html
(8/10)知事会、義務教育国庫補助削減認める・三位一体改革

全国知事会(会長・梶原拓岐阜県知事)は9日、国と地方の税財政改革(三位一体改革)に関連してとりまとめを急いでいる国庫補助負担金の削減案に義務教育負担金の一部を盛り込む方針を固めた。公立中学校の教員給与費約9000億円を削減する方向で最終調整する。

教員にかけるお金を減らしちゃダメなんだっつーのに! いったいどうやって少人数学級を実現するのだ… 

ちなみにこの三つ目のニュース、朝日(紙面・ネット)も読売(ネット)も載せてない。日経だけ紙面・ネットに記事あり。一つ目・二つ目はどこも大々的に報じたくせに、ふざけんな。ていうか、ナメんな。

義務教育でのカネとヒトを削るっていうのは、つまりは亡国への道だとわたしは思ってる。そういうことをするとどういう問題が起きるか。

親として質の悪い教育を子どもが受けるかも/義務教育段階で教育サービスの質の高い私立に通わせるにしても、社会に出たときに公立で質の悪い教育を受けてきた人間とやっていくのかも、という問題。

つまりは社会活動において、無用な摩擦や折衷が必要になるわけだ。これは産業活動の生産性の低下に大いに寄与する。

そして、これから親も自分もトシ食っていく身としては、質の悪い教育を受けた人間に介護サービスとか頼むことになるのか、という問題。

それからなんといっても、全体の質が下がれば文化を生み出す層も減り、力も落ちて、最初で書いたように産業活動の生産性も落ちるだろうから、国自体の質が落ちるという問題。

人を育てるシステムでカネと手間とヒトを惜しむと、こういうプロセスで国の弱体化が加速するのはあまりにも明らかなのに。少子化の今こそ、子どもの教育に力を注いで人材を生み出すチャンスなのに。

もう、どうしようもないのだろうか。


◆補足
アップしてちょっと経ったころより、紅茶&ジャムつながりの知人より、「公立=dQn:私立=質が良い、というのは現在いささかステレオタイプに過ぎる見方ではないか。硬直化した私立の方が問題を抱えているような気がする」との意のメールをいただきました。

個人的にも返信したのですが、上で書いてる義務教育への悲嘆は、現在のそれの質が悪い、というよりも、教員費を削るというような改革が行われた結果を想定するならば、ということです。そのように読めなかったら、それはひとえに当方の文章力不足です、ごめんなさい。

なお、実験校として予算が多めに取られている公立も別ね。