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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『GHOST IN THE SHELL 1』

連休中に『イノセンス』を漬かるかごとくに見て、一作目の映画『攻殻機動隊』を見直すと、改めて鳥肌が立つ。鳥肌を起こさせる興奮物質の内訳は、『イノセンス』でパラフレーズされる冒頭のシーンや、ちょっとしたセリフで感じる、「ほんとに押井守はやりたいことが決まってて、そのさらなる完成を一作ごとに求めてるんだなあ」という呆れと畏怖。

ストーリーの完成度、画面構成の面白さは、一作目のほうがやっぱりすごい。『イノセンス』は使われている技術が真新しい分、一作目のちまちましたセル画の、練られ練られてきた職人技という使い勝手のよさはまだ得てないって感じなんだよね。

それにしても冒頭、ビル屋上から身を翻す少佐の、あの笑い。押井守が言うように、映画の冒頭にそのテーマが集約されて提示されているとするなら、あのうっすらとしたくちびるの歪みは、危険な業務に際して義体ごしに自らの個体性に触れている喜びによるものなのか。

まあ、そんなギリギリの状況じゃなきゃ自己の存在を実感できないんじゃ、人形遣いと融合しても残るものがあるかどうかで、自分を確認したくもなるかもなあ。