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「ちびくろさんぼ」のバターとはなにか

ホットケーキ好きなら、ちびくろさんぼの虎バターホットケーキについて考えはじめると、思考はまさに木の回りを回る虎のようにぐるぐると高速回転してしまいますよね。パンケーキなら7枚、ホットケーキなら4枚が限度という程度にホットケーキ好きなわたしも、常にあの絵本の、塔のように積み上げられたホットケーキを平らげるという夢をあきらめられません。

ところで、ちびくろさんぼのお話が、もともとインドに材を採ったお話だということを考えると、「バター」というのは「ギー」だと考えられます。「バターチキン」カレーだって、ギーと生クリームで煮込んだカレーですしね。

しかし、インド料理がお好きな方なら思い当たるでしょうが、あのギー、妙に満腹感を与える脂です。もっともインド料理の場合、カレーにもナンの表面にもふんだんに使ってあるということもあるのかもしれませんが…

さて、ここで思い当たるのは、「バター」が「ギー」なのだとするなら、「ホットケーキ」は「ナン」だったのではないか、ということです。ナンも、そう何枚も食べられるものじゃありません。ましてや、ギーが表面に塗ってある「バターナン」ならなおさらのこと。

そう考えると、あの、ホットケーキが塔のように積み上がったちびくろさんぼの風景は、有害な虎をやっつけて、家族にほめられたちびくろさんぼが見ている「むにゃむにゃ、もう食べられないよぅ」という夢のなかの風景なのではないでしょうか。

夢の中のテーブル、そしてお皿の上には、家族が勤めている白人のお屋敷で食べられている、うわさによるとほかほかのナンによく似ていて、でももっとやわらかくって甘いという「ほっとけーき」が積み上げられ、でも、なぜか味はよく知っているいつものナンのような、そして、ナンだといつもカレーと一緒に一枚か二枚でおなかいっぱいになってしまうのに、この「ほっとけーき」とやらは何枚でも食べられる!

…だって、夢だからね。

だけど、どこから夢だったのかな? 家族にほめられたのは、現実? でも、虎が傘や長靴を欲しがるなんて、ありえる? それよりなにより、虎がバターになるなんて、ありえる? ちびくろさんぼは、ほんとは虎と出会い頭に食べられていて、そのあとのお話は、魂がカーリー女神とかの前に運ばれて行く間に見た幻なんじゃないのかな? 

いや、もしかしたら、ちびくろさんぼのあの世、そのものが、虎と出会って以降のあのお話なのかもしれないね。塔のようなホットケーキを食べ終わって、眠りについて、朝起きて、森で虎に会って、頓知で虎たちを高速回転させ、バターにし、持って帰って塔のようなホットケーキを焼いてもらい… その繰り返しが、ちびくろさんぼの永遠の安息。虎と戯れるのに魂が飽きたときが、転生への曲がり角。

だとすると、さんぼがこの世とあの世と転生の輪廻から抜け出すのは、喜んで虎に身を投げ出すときなのかもしれないね。

眠れ、さんぼよ、安らかに。