THE 有頂天ホテル
かつての監督の脚本、『3番テーブルの客』を、ブドウ糖果糖液糖と生理食塩水で水増しして、ビリー・ワイルダーとエルンスト・ルビッチのコメディ・フレーバーをふりかけたら、味の統制とれなくなっちゃいました、みたいなまとまりのない一本。
有頂天なのは、このキャストをこのセット、音楽、衣装、小道具で動かせた監督だけなんじゃないか。あ、YOUの歌だけは良かったな。これ、せめて脚本だけを担当したほうがよかったんじゃないか、三谷さん。
わたしは、10年以上経った今でも、監督の脚本を、井筒和幸や蜷川幸雄、星護、今は亡き伊丹十三など、名だたる映画監督・演出家が撮ったショートフィルム、あの、深夜に放送されていた『3番テーブルの客』を忘れられない。
けど、この映画『有頂天ホテル』のことは、あっという間に忘れてしまうだろう。
それにしても、『3番テーブルの客』、DVDボックスにしてくれないかなあ。絶対、買うよ。だって、あれは、ほんとうに素晴らしかったから!