『ミス・ポター』
それぞれの家庭でみそっかすだと思われている同志が惹かれ合い、恋仲になる、その不器用な過程がなんともいじらしい。むしろあの時代に喪女が階級違いの相手との恋愛結婚を、条件付きとはいえ中産階級の親に認めさせるとはよくやったと言いたい。
それにしてもこの映画、感情移入できるほどに描写されている登場人物はみな喪男喪女なのがすごいなー。主人公は喪女な上、妄想スキーだし。ここまで地味な映画って近年、見ていない気がする。
ところで、この手の偉人伝的な映画って題材が地味だったりすると、主人公の女性の外見が妙に美化されがちなところが萎えてしまうもとなのですが、残されている写真を見ると、ちっとも美人じゃないビアトリクス・ポターを、ちっとも美人じゃないまま描写しているところが好感が持てます。
でも、そのちっとも美人じゃない上、当時の基準でもオバサンなビアトリクス・ポターが、だんだんキュートに見えてくるのはなぜなんだぜ?
娘を無力でできそこないだと思いたい母親とそれに抵抗する娘という、『死にぞこないの青』に続いてトラウマつつかれる内容でしたが、これも見てよかったと思いました。ポター姉弟の子どもの頃の服装とかもかわいらしいし、ナショナルトラスト運動がどうやってはじまったのか、その雰囲気を知ることもできたし。