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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

シルヴィ・ギエムの『ボレロ』@ゆうぽうとホール

東京ではほんとに最後になるであろうギエムの『ボレロ』を見ました。神は赤毛から栗色の髪になっていました。神はインドの両性具有の神のようにパワフルでした。神はすべての一挙手一投足が完璧でした。クライマックスに近づくに従って、「ああ、終わってしまう」という無念にも似た気持ちと、ああ、わたしはこのステージをしっかり見届けつつあるのだという満足感とで、汗やら涙やらの体液がにじみ出て、最後のあの瞬間に、どばっと汗が出るとともに、全身の細胞が強制的に入れ替えられたかような衝撃が。今もその衝撃は続いていて、入れ替えられた細胞が新鮮すぎて体になじんでいないような、妙に体の内側がざわつくような、おかしな感覚のなかにいます。


みなさん、スタンディングオベーションとかしてましたけど、衝撃が強すぎて、わたしはしばらく立つことなんて、できませんでした。3年ほど前に見た時は、終わると同時に跳ね上がるようにして立ち上がって拍手したのですが。昨日、会場のスタンディングオベーションしていた方々も、終わってすぐ、ではなく、二回くらい幕が下りては上がりしてからぽつぽつと立ち上がり、四回目くらいで8割立っている感じでした。他の方にもそうとう、衝撃だったのではないでしょうか。43歳で、なお進化するダンサー! これを神といわずしてなんといおう…。生ギエム体験が二度目の家族は、クチもきけなくなってました。


太陽を直視しつづけてはいけないように、神も、直視しつづけてはいけないのかもしれません。しかし、見ざるを得ないのです。たとえばそれが隠し撮りのブレブレでピンボケの映像でも、神はやはり神(昨年6月、アテネでの神↓)。