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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『立喰師列伝』


世間は「虚実入り混じったチョコレートボックス」みたいなもの、と楽しくなるのが『明治 大正 昭和 不良少女伝 〜莫連女と少女ギャング団〜』なら、「そのチョコレートボックス、小石や葉っぱが化けたチョコレートが入ってやしないかい?」、あるいは、「チョコレートボックス。そいつはほんとにそこにあったのかねえ?」というささやきが聞こえてきそうなのが、焼け跡のソバ屋から牛丼屋、ロッテリアにいたるまでのファストフードに立ち向かう「立喰師」なる仮想のゴト師を描いて仮想の戦後日本史を織り上げたこの作品。


「立喰師」なる存在については、古くから押井守作品に見え隠れしていましたが、それが映画になったのがこの『立喰師列伝』。押井作品には繰り返し使われるいろいろなモチーフがありますが、その中でもいちばん映像化されにくいのでは…と思っていたこれ。2006年に映画化されただけではなく、ロードショー公開されたのが今でも不思議な作品です。なにしろ出演しているのは全員、監督の知人友人仕事仲間! 超ぜいたくな映研的作品なのです。



でも、この大法螺吹きのこんこんちきな世界、嫌いじゃないです。映画館で見たときは、画面のトーンとナレーションのぼそぼそ加減もあいまって、一瞬、寝落ちしてしまいましたが…