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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

戸川純@O-WEST

お盆の東京。「どうせウソだとわかっているさ!Vol.7〜トラ男3人 不惑の60路を往く〜」でミチロウと戸川純のライブを見た。ほんとはそのあとに頭脳警察もあったのだが、ミチロウで満足したあと戸川純でいたたまれなさでいっぱいになってしまい、それ以上ライブ会場にいられなくなり出てしまった。


ミチロウが相変わらずの痩せマッチョ+アイメイクで怪音波を発したりフロアに「死ね」と吐き捨てたり、坂本弘道がチェロの足の金属部分にチェーンソー当てて火花出したりフロアに水撒いたりと、毒々しくもサバト的な華があったのに対し、戸川純は帽子にサングラス、二の腕を隠すショール姿の肥満体で登場。6年くらい前だったかケラの芝居に出ていた時と別人過ぎて(調べたら10年前だった)、一瞬PANTAが女装して出てきてサプライズ? とさえ思ってしまったくらいの様変わり。


10年前の戸川純


6年前(骨折直前)の戸川純


その体型は腰と足の骨折からの治療の一環で、食べないと骨がくっつかないからと食欲増進剤を投与されているせいなのだと説明があったけど、その薬の向精神薬的な副作用のせいか戸川純はろれつが回りきってない喋り方。歌唱も太らされて声帯が圧迫されているせいだろう、高音域が出ていないし、ワンブレスが短い。そして痩せてスタイルがよくないとこんな歌(セクサロイドM)歌っちゃダメですよね、とか、ミチロウさんや頭脳警察さんに交じってこんな歌って場違いですよね(諦念プシガンガとかがパンクっぽくなくて、という意味か?)などの自虐MC。


まだ腰が万全ではないとのことで座ってのライブ。歌唱もだんだん声が出るようになってはくるものの、はっきり言ってそれのみではかなり厳しく思わず拍手が出るレベルからは遠いのだが、拍手しないと自信喪失しちゃって回復が遅くなっちゃ困る! と拍手してました。


が、最後に「この曲だけは立って歌わないと」とよろり、と立ち上がった戸川純が歌い始めた『パンク蛹化の女』は凄まじかった。途中何度かベースやギターの肩を借りながらもステージを左右に往復して絶叫する姿には、そのパフォーマンスの壮絶さと「純ちゃんムリしないで…」というハラハラする気持ちと切なさとでほぼ泣きながら合唱。この曲が中学時代、わたしの初めての戸川純だったこと、そのころ一緒に聴いたひとが夏に亡くなった思い出、いま自分が足腰の治療中という自らの老いも重ね合わせてしまっているところに、パンクミュージシャンのまま老いることの凄まじさで重いストレートを腹にまっすぐ叩きこまれました。もうそれで完全にギブになり、誘ってくれた同い年の友だちもそうらしいので会場を出たという次第。