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『相棒 劇場版II』

かねてよりファンなので、みっちー(及川光博)目当てに仕事納め帰りに見に行ったのですが、おっさん俳優陣の色気がすごくてそっちに目が行ってしまい、あまりじっくりみっちーを見られず。ていうかポスターの時点でみっちーより水谷豊のほうが色気が勝ってるなあとは思ってはいたのですが、こんなおっさんBL臭芬々たる作品だったとは… TV版はまとめてレンタルでもして見ようと思って未見なのですが、もともとそういう作風なの? まさか岸辺一徳があんなBL台詞を遺す役とは… 驚きました。


水谷豊の役柄はおそらくNHKのジェレミー・ブレットのホームズが原型なんだろうな〜と思うのですが、まあそういう感じで色っぽい、のはいいとして、岸辺一徳名高達男國村隼などの熟年俳優たちがこれまたやけに色っぽい。たとえるならみっちーは菫の花、熟年俳優陣は退廃的なダリヤや芍薬、牡丹という感じ。


しかし押井原理主義のフィルターがかかった目で「警察学校同期」とか「会議室に居並ぶ保身に汲々とする上層部」などのモチーフがある作品を見ると、水谷豊の役がなんだか「お育ちの良い某課長」にも見えてきてしまいます。というのは作品の基本設定に詰めの甘いところがあって、鑑賞中にほかのことを考える隙ができてしまうから。


その隙というのは、公安が上海マフィアをイスラム系反米テロ組織に仕立て上げるという設定なのですが、仮にもイスラム系反米テロ組織ならイスラム系に見える人間がいないと信憑性に欠けるわけです。公安にひっかけられる外事課とかも内偵の段階で、組織の構成員の見た目がイスラム系じゃなければ洗いなおすはず。ブラフにしても公安が計画するというには底が浅すぎるます。どうせブラフ設定ならウイグル系中国人のテロ組織、というような設定のフィクションにしとけば昨今の情勢に思い切りぶち当たってネ申設定だったのに!


ちなみにTV版を見ていずに見た映画『相棒 劇場版II』が面白かったからこそ、この基本設定の甘さが残念なのです(面白くなかったらそもそも日記にわざわざ書かないし)。


ともあれ豪華なおっさんBLとして見るにはまったく文句なしです。おっさん俳優陣の、柿とかが腐り始める一歩手前のような色気にあてられたい方は、ぜひ。