800円ちょっとの本一冊で視界激変
政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/02/10
- メディア: 新書
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角川から出てる新書、『政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書』を昨夜読了。これは凄まじい本です。この800円あまりの小さな本に、なんだか近頃おかしなことになってる世界をひっくり返すニュースの見方が詰まっています。わたしは頭をひっぱたかれたようなショックを受けました。
特にショックだったのはリビア政変に関するリビア国民の声。政変は大掛かりなヤラセであり、そのヤラセの目的はリビアを西側のルールに沿って市場化すること。
人やその生活を数字に換算する、そんな非人間的な目的のために、アフリカ諸国でもっとも安定していたリビアが狙われたという事実は、この本で最大にショッキングな点でした。そして感じてはいたけれど、日本もばっちりその射程内に入っているということも。
今までキヨシローの『カバーズ』やマイケル・ムーアの映画、ちょろっと研究した日本の教育政策へのアメリカからの注文などで感じてはいたけれど、はっきりとは見えていなかった資本主義、新自由主義の非人間的な姿が見えてきました。
そういえば、こないだ見た『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』にもこんなシーンがありました。カネのために戦争を始めようとするモリアーティ教授がホームズに言うのです。「君の敵は私じゃない。(カネのために)戦争をしたいという人の心だよ。私を倒してもこの流れは止まらないよ」。
でも、こうした経済至上主義にいったん取り込まれながらも、そこから脱却して、人間らしい生活を取り戻した国の例も載っています。ホームズみたいなヒーローがいなくても、カネと人間性が引き換えられる世界から足抜けすることはできるんだ、という、これはいいショックでした。
ぜひ読んでください。くどいようだけど、800円ちょっとで視界が変わります。