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第13回世界バレエフェスAプロ第4部感想

(1)「ブレルとバルバラ」エリザベット・ロス/ジル・ロマン

振付:モーリス・ベジャール、音楽:ジャック・ブレル、バルバラ

 

シャンソン歌手ブレルとバルバラの歌声に乗せて、女声のときには男性が、男声のときには女性が踊る演目。まずあれっと思ったのが、エリザベッ ト・ロスってそんなにがっしりしてたっけ、ということ。今までそういう印象がなかったのですが、この演目では、今回はジル・ロマンが女装? 男女取り替え 版? と、思ってしまったほどがっしりして見えました。

 

脚の付け根から太ももにかけての筋肉がぶっといのと(チュチュだとぎりぎり隠れるライン)、ウエストのくびれ(と言ってもロスの場合、バスト やヒップとの対比ではなく、ウエストから背中への筋肉との対比でくびれているように見えるのですが)を隠す衣装、そしてロスがジル・ロマンより若干背が高 いせいでしょうか。

 

対してジル・ロマンは若々しく、小柄な少年のよう(というか、若手のダンサーが出てきたのか? と、一瞬、混乱するほど若返っていて、凄いと思いました)。なので、わたしの脳内では「毛皮のマリー」 「身毒丸」的な関係に見えてしまってしょうがありませんでした。ほぼすれ違い続ける二人という演目だしね。実際はシャンソンの雰囲気から察するに演歌的な 男女の演目なんだろうなー(ロスの踊る一曲目の冒頭とサビが「Ne me quitte pas(英語ならDo not leave me、日本語なら「行かないで」)」ですからね…)。

 

(2)「明るい小川」よりパ・ド・ドゥ

 アリーナ・コジョカル/ヨハン・コボー

 振付:アレクセイ・ラトマンスキー、音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ

 

黒地に水玉模様のかわいらしい衣装のコジョカル。コボーとの息も相変わらずぴったり。そして第1部の最初のサレンコ/シムキン組に負けず劣らず、凄いテクニックを軽々と楽しげに舞ってしまう。いつまでもこのペアを見られたら、と思わせてくれるテクニックと表現力、ラブラブっぷりのすてきな演目でした。

 

(3)「カンタータ」 (世界初演)ディアナ・ヴィシニョーワ/ウラジーミル・マラーホフ

 振付:ナチョ・ドゥアト、音楽:ヨハン・セパスティアン・バッハ

 

先生! ヴィシニョーワの衣装がエロいです! と言いたくなるのに反して(ウエストから上は半透明の黒のチュール地に不透明な黒い生地の市松模様なのですが、それがちょうど乳首を隠すデザインでほかは透けているのです!)、マラーホフの昔のヨーロッパの水着あるいは体操選手(体型も…)のような短パンはちょっとどうなの…。

 

(4)「オネーギン」より第1幕のパ・ド・ドゥ

 ポリーナ・セミオノワ/フリーデマン・フォーゲル

 振付:ジョン・クランコ、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

 

東京バレエ団での全幕公演が控えていますが、このペアでの全幕でなら、ぜひ見たい! 少女時代のタチヤーナが夜、うたたねの夢で憧れのオネー ギンとの逢瀬を踊る場面ですが、鏡の前に立つと鏡の中からオネーギンが現れるところで、鏡の中のタチヤーナ役の振りが、セミオノワのそれと冒頭、思いっき りずれたのにはがっかり。鏡の中のタチヤーナ役はみじゅかタンだったようですが…。それ以外は素晴らしかったです。恋する少女の夢見心地さ加減が繰り返さ れる高いリフトに乗って、甘い雰囲気満点でした。

 

 (5)「ドン・キホーテ」オレシア・ノヴィコワ/レオニード・サラファーノフ

 振付:マリウス・プティパ、音楽:レオン・ミンクス

 

セミオノワ/フォーゲルの「オネーギン」のあとではちょっと影が薄い。定番クラシックだからというわけではなく、踊り方が無難すぎた気がしま す。クラシックだからではなく、同じく定番中の定番の「瀕死の白鳥」のルパートキナほどの表現力が込められていなかった、ということ。ノヴィコワのキトリ がはっちゃけ感がなく、お嬢様っぽいのが主要因?

 

ところでサラファーノフ、嫌いじゃないんだけど、もしかしておでこ面積拡大しましたか? そこがちょっと「諸星あたる状態」のあの若々しい役を踊るにはちょっと、気になりました。まあ、以前にシムキンのバジルで全幕見てしまった記憶が残っているせいかもしれませんが。

 

さて、Aプロの感想を書き終えたところで、今日はこれからシムキンが金ピカブロンズ像役の「ラ・バヤデール」です。こちらも楽しみ!