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ダニール・シムキンのすべて〈インテンシオ〉ガラ公演@ゆうぽうと

今日はずーっと楽しみにしていた「ダニール・シムキンのすべて〈インテンシオ〉ガラ公演」楽日。公演はオープニングから実験的。舞台前方に下ろした半透明のスクリーンに、シムキンの踊る映像が映し出され、それが溶けていくと、今日の出演ペアが一組ずつ出てきては消え、という趣向。そこからシムキン父による映像と、一瞬、白いシャツ一枚まとっただけに見えるシムキンのソロのコラボレーション作品、Qi(気)へ。



日本では初演だというこの作品は、舞台奥の壁面に映し出されるちょっとドラッギィな映像とシムキンの動きがしっかり調和している、のはいいのですが、映像が舞台壁面に合わせて投射されているので、シムキンが舞台前面に躍り出てくると、投射されてる映像で脚の腿あたりで光と影でラインが引かれてしまうのが残念なところ。なんといってもバレエは脚の表情が大きな見所のひとつなので…。

衣装がすてきなLeaves are Fadingに続いては、チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ。このプログラムの男性ダンサー、ホアキン・デ・ルス、すばらしかった! ほかのダンサーに比べると、頭大きいし、脚長くないし、などと失礼にも期待薄でしたが、反省。ある意味、次のプログラムの白鳥のグラン・アダージョのウラジミール・シショフをしのぐ好演。

ところで、今回の公演では、#INTENSIO のタグ付きでツイートすると、休憩中のスクリーンにその呟きが映し出されるという趣向だったのですが、ホアキン・デ・ルスについての前述の内容をタグ付きで呟いたのが映し出されたら、後ろの席の人に読み上げられた上、「それ、書く方が失礼なんですけど~」って後ろの人にリアルつぶやかれたw ツイッターこわいおw

さて、チャイコフスキー・パ・ド・ドゥの次、白鳥のグラン・アダージョでシショフが出てくると、顔小さい、等身いくつなの、という典型的王子様スタイル。対する白鳥はイリーナ・コレスニコワ。これがスタンダードながら思い詰め感たっぷりの白鳥で、上演後、下手に下がっていくまでその緊迫感が続いているのも趣き深い。

その次はロベルト・ボッレとジュリー・ケントの椿姫で第3幕のパ・ド・ドゥ。なんとなく、ジュリー・ケントに翻弄されるボッレ、という雰囲気。でもやっぱり最後はふたりともどろどろに一体化するのですが。この作品はなぜか見るたび、生演奏のピアノがミスタッチが多く、興を削がれてきたのですが、今日は録音ものだったので、安心して見られました。

さて、前半はシムキンとコチェトワの海賊でいったん休憩。舞台からの熱気で観客席まで温まった感じ。後半が楽しみだけど、終わりが近づくさみしさもあり。



ですが、後半はますます凄かった! 黒鳥のパ・ド・ドゥ、前半の白鳥と同じペアながら、思い詰めた白鳥と解放的な、あだっぽい黒鳥の別人のような演技に慄然。さらに幼さを残したまま初恋に翻弄される吉田都のジュリエット、ラテンの恋する男ってこんななんだろうな、と思わせるボッレのロミオの、ヴェテランペアによるバルコニーのシーンに感涙。

だめ押しでラストはシャンソンに載せてのパントマイム的ながら、物凄い大技を織り交ぜたシムキンのレ・ブルジョワ。堪能しました!