『アンダーグラウンド』@シアターN渋谷
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2001/07/21
- メディア: DVD
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シアターN渋谷で十年以上前に封切りで見て以来のデジタルリマスター版の『アンダーグラウンド』。相変わらず強烈にして濃厚、相変わらず三時間とは感じないあっという間の上映時間。デジタルリマスターされてる分、封切りで見た時から脳内で美化・純化されたイメージに近かったのかも。DVDは旧版は絶版なようなので、ぜひ今回のデジタルリマスター版をDVDもしくはブルーレイで発売してほしい!
ところでかつても度肝を抜かれたけど(そしてユーゴ問題なるものを初めて認識したけど)改めて「よくもまあ、これを作り上げたよね」と感嘆にたえなかった(ちなみにずっと、この映画の衝撃を超える映画は現れないだろうと思っていたけど、昨年、超えはしないけど同列に並ぶ映画を見てしまった。園子温監督の『冷たい熱帯魚』がそれ)。
さて上映後、ユーゴ問題を知らないらしい若者2人が、「最後のシーン、意味わかんねえ。いつから死んでたん?」と言いながら階段を降りて行った。その立ち聞き話を帰りに寄ったカフェで家族にしたら、「ええ〜! 若者はあれ夢落ちみたいなもんだと思ってんの? まあ、ユーゴ問題知らないだろうからなあ」と言う。まあ、心理学的な意味では夢=集合無意識とも言えるので、夢落ちと言えなくもないのかもしれないのだが。ただ、ユーゴ問題やボスニア問題を知らずに見ていると、最初は武器商人が大半だった地下トンネルに、映画終盤ではUNのジープが通っていくあたりにどんな皮肉が込められているか、気付かないかもしれない。
映画『アンダーグラウンド』を観ましたか?―ユーゴスラヴィアの崩壊を考える
- 作者: 越村勲,山崎信一
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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ところでわたしはこの映画で元女優がマルコの妻になってから常に満たされない、イライラした雰囲気で演じられているのは、映画冒頭でマルコが馴染みのおばさん娼婦と繰り広げるような性的充実感に満ちた関係がただの一度も描かれない=そういう関係がない(やたら瑣末なフェティッシュな描写はあるけれど)、という描写だと思うのだが、家族は「えっ、そういうことなの? 必要ないから描写されてないだけかと思ってた」そうだ。
映画の文法的にはわたしは自分の読みが当たっていると思うのだが、『アンダーグラウンド』を見たことのある方は、どう考えますか?