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第13回世界バレエフェスティバルAプロ第1部感想

三年に一度、興奮の汗が目の内外ににじみ、超絶テクに怖気が立って暑気払いというイヴェントがやってまいりました。

今回の演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、指揮はポール・コネリー氏。ちょっと検索しただけでもパリ・オペラ座管弦楽団、コロンヌ管弦楽団ミラノスカラ座管弦楽団、日本の新国立劇場での歌劇「ドン・ジョヴァンニ」など、劇場での劇伴のヴェテランのよう。演奏に関しては、今回の世界バレエフェスAプロでは音を外すソリストがいなかったので一安心。ただ、観客のマナーが低下しているのは残念。上演中に携帯電話の明かりで配役表を何度も見る人とか、ビニール袋をがさがさいわせる人とか(会場係のお姉さんがしきりに注意喚起してたのが気の毒なほど)。

第1部
(1)「スターズ・アンド・ストライプス」 ヤーナ・サレンコ/ダニール・シムキン
振付:ジョージ・バランシン、音楽:ジョン・フィリップ・スーザ

シムキン、相変わらず重力あんまり関係ない人のよう。サレンコと二人、さわやかに凄いテクニックをなにげなく披露。なにげなさすぎて目が滑る感じさえします。水曜の全幕特別プロ『ラ・バヤデール』でのブロンズ像が楽しみすぎる! シムキン大好きの家族は「メインディッシュが最初に来るなんて…」と言っていましたが、今回はその後も凄かった。

(2)「モペイ」フリーデマン・フォーゲル
振付:マルコ・ゲッケ、音楽:C.P.E. バッハ
筋肉祭りというか、フォーゲルの背筋を鑑賞する演目ふたたび。背中のあんなとこにもこんなとこにも筋肉の小山が! しかも前回より増量されている気がする。しかし、この演目を以前に見たときにも思ったのだけど、どうしてもエガちゃんが思い出されてしまうんですよね(見ればわかりますw)。もちろんそれだけに終わる作品ではないです。今回の公演はNHKによって収録され10月15日(月)深夜0時からBSのクラシック番組枠で放送され、かつ被災地支援として仙台のシネコンで無料上映されるとのことなのでぜひご覧になっていただきたい! バッハの楽曲の素晴らしさも再確認できる演目でもあります(前回のこの演目時鑑賞時に書いたかもですが、バッハと言っても楽聖ではなく、その息子さん。作風は大バッハモーツァルトの中間みたいな感じ。実際、モーツァルトは彼の影響を強く受けていることを公言しているほど)。

(3)「幻想〜『白鳥の湖』のように」より第1幕のパ・ド・ドゥ
エレーヌ・ブシェ/ティアゴ・ボァディン
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
妄想脳をおおいに刺激される演目。すがりついてくる女性にいったんは相手をするが、突き放したり手を離してしまう、を繰り返す男性に、結局は女性も去っていく、のですが…。「幻想〜『白鳥の湖』のように」ということで、ハッピーエンド版『白鳥の湖』その後の世界を妄想。

王子「ああ、やっぱエロい黒のほうと結婚したらよかった」
白鳥「あんなに愛を誓い合って二人で魔王を倒したじゃないの!」
王子「うん、そうだね、うん(一応相手する)。がああ、でも違うんだよう、エロス、エロスが足りない!」
白鳥「最後に残るのはエロスじゃなくて愛よ。わたしはずっとおそばにいます」
王子「いや、そういうんじゃなくって、翻弄されたいんだよな、やっぱり。ああ、あの32回転…」
白鳥「…ごめんなさいね、32回転とか、無理(あとずさりながら去る)。」
みたいな。

(4)「ドリーブ組曲上野水香/マシュー・ゴールディング
振付:ジョゼ・マルティネス、音楽:レオ・ドリーブ
みじゅかタン、一時期、4〜5年前でしょうか? いきなりバレエダンサーにあるまじき太り方で現れて、当然ポワントの重心も安定しなく、ポワント(体操のように演技なしで集中)→ポワント終わり、演技→ポワント(以下同、という感じで見てるだけでハラハラ、という時があったのですが、2〜3年前からコミカルな演目等で「あれ?調子戻って来た?」となってきて、今回はかなりよい状態だったと思います。

体型もほぼ以前通り(家族は「二の腕がふるふるするのはどうにかしたほうがいいと思う」と言ってましたがw)、重心も定まってる。世界バレエフェスのほかの演者に負けないよう、『ボレロ』をベジャールに許可されたときの華を取り戻してくれたらな、と思います。あれは時分の花だったのかもしれないけど…(わたしもたいがい意地悪だなw)。なんといっても今の状態では他の出演者にくらべて腕の長さが短いのもあいまって、小粒感が…。

けど、シムキンの相手役より若干背が高いくらいのみじゅかタンに、大柄ムキムキのゴールディングをペアにするのはよくないと思う。可憐さよりちんまり感が強調されてしまっていました。あとこれはずっと思っているけど、足音が気になるのでトゥシューズ、別のメーカーに変えてほしいなあ。