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『Drinking Glass―酒器のある情景』@サントリー美術館

先日、友人に誘われて「Drinking Glass―酒器のある情景」をミッドタウンに見に行きました。展示品はすばらしいものが多々あり、量的にもガラスの酒器の歴史を概観できるものが並んでいます。

個人的には、ローマ時代やササン朝ペルシャ時代の古代ガラスが、発掘されるまで地中にある間に銀化したというオパールのような輝きのうちのいくつかは、実は作成当初からオパールのように仕立てたのでは? と昔から疑っていて、今回も「これはどうかな〜」と思いながらじろじろ見ていました。

さて、今年は夏にも諏訪湖畔の北澤美術館でエミール・ガレのガラス器を見ているのですが、それにくらべるとこのサントリー美術館のものは、展示方法などがちょっと不親切。背の低い酒器で、脚に特徴があると解説ボードにも書いてあるのに、かがまないとその脚がよく見えなかったり、刻んである決まり文句や聖句の説明が日本語で解説ボードに書いてあっても、展示品の裏側で壁に向いているので鏡文字になったりして読めなかったり。

なので、ほかにも展示品の説明文で不明瞭なことがあったので、問い合わせてみました。

サントリー美術館御中

本日、「Drinking Glass―酒器のある情景」を愉しく拝見いたしました。そこで、2点ほど気になる点がございましたので、メールさしあげております。

(1)酒器の「脚」に特徴のあるものが多く、説明文にも明記されていますが、展示の多くがかなりかがまないと脚をよく見るにはむずかしいかと思われます。展示物の後ろ、壁側に角度をつけて鏡を置いていただけると、かがまずに脚の造作、また展示物の裏側の模様などもよく見えるかと思います。ご検討いただければ幸いです。

(2)回し飲み用酒器「65」の説明文ですが、「〜酒を飲み干し、回し飲みした〜」とありましたが、飲み干してしまったら回し飲みはできないのではないでしょうか? 可杯(べくはい)の説明が入り混じってしまったのか、と首をひねっておりました。それとも、相当な量ですが、一回一回飲み干しては継いでの回し飲みだったのでしょうか?

以上です。また愉しい展示を期待しております。


Mmc


ちなみに(2)の酒器はリンク先の「4.促す」に画像のある「神聖ローマ帝国選定侯文フンペン ドイツ 1606年/石川県立美術館蔵」と同タイプで、アメリカンなマクドナルドのドリンクLサイズよりもさらに一回り大きいスーパーサイズです。2.5〜3.5リットルくらいはゆうゆう入りそうな感じ。

また、質問文中の「可杯」というのは、酒器の底が尖っていたりして、注がれたお酒を飲み干さないと器を卓に置けないタイプの杯です。

Mmc様

この度は、「Drinking Glass 酒器のある情景」展にご来館いただき、誠にありがとうございます。

今回いただきました、(1)の展示方法に関するご意見につきましては、今後の展覧会の参考とさせていただきたいと思います。

(2)につきましては展覧会を担当した学芸員に確認しましたところ、酒器(フンペン)に入っているお酒をすべて飲み干した後に次の人に酒器を渡し、またお酒が酒器に注がれるとそれを飲み干して酒器をまわしていく、という飲み方をしていたそうです。説明文がわかりづらくて申し訳ございません。


今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます。


サントリー美術館


「酒器(フンペン)に入っているお酒をすべて飲み干した後に」…。マジっすか? 回し飲みってことは一気飲みですよね? このころはワインを水で薄めて飲むのが一般的だった、という解説をこの展示品の近辺で見かけましたが、あのサイズに入る水分を一気飲みって…。驚きです。昔から欧米人のドリンクはスーパーサイズだったのか! モーガン・スパーロックもびっくりですね。