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フェリックス・アーヨ ヴァイオリン・リサイタル@津田ホール

ヴァイオリンのアーヨとピアノの岩船のスタミナと超絶技巧に、とくにアンコールになってから客席が翻弄された夜でした。

予定されていたプログラムは

ヘンデル
ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ニ長調 op.1-13

ベートーヴェン
ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ長調 op.12-1

フランク
ヴァイオリン・ソナタ イ長調

ファリャ
スペイン舞曲「はかない人生より」

すべてメジャーな曲ですが、すべてが新しく聴こえる演奏。ピアノが単なる背景としての伴奏に終わらず、攻めてくるのに、ヴァイオリンががっちり食い込むコンビネーションの威力を堪能しました。

天才的な演奏を聴くとたまに起こることですが、耳から入った音が体の内側から鍵を開け、毛穴から血管に直接、音楽が流れこむような、そしてその音楽が心臓を沸き立たせ、沸いた何かが耳と首の後ろから蒸発していき、その後に冷えた体に震えが来る感覚を久々に長時間、味わいました。

さらにこのあとのアンコールが凄かった! 一曲目はエルガー「愛の挨拶」。これをアーヨの演奏で聴いたら、ますます天上近くに舞い上がってしまって、みんな帰るどころじゃありません。それは彼らもわかっているようで、二曲目はクライスラーシンコペーション」。

ここで切り上げようと思ってか、三曲目はジョン・ウィリアムズシンドラーのリスト」。演奏は素晴らしいのですが、それまでの曲との落差にちょっと客席、冷めすぎたと思ったのか? 四曲目はピアソラリベルタンゴ」で客席、また一層沸く。

続いて五曲目、コハンスキー「スパニッシュダンス」、六曲目はパラディス「シチリアーナ」と、本プログラムが肉と魚両方出るコース料理だとしたら、アンコールはデザート盛り合わせが盛り合わせず一皿ずつ来ちゃった、みたいな充実ぶりでした。

アーヨ、年齢的にあと何回、日本に来られるか? ということからの演奏だったのかもしれませんが、去年秋のはずのこの会をキャンセルして心臓バイパス手術したとはとても思えない元気さでした!