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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『エベレスト 3D』

久々に3Dメガネかけての映画鑑賞。登山映画の恐怖は3Dでも角度とかセオリーはあんまり変わりませんね。そして登山でのミスは、登る山が高くても低くても
・時間厳守
・装備はきちんと使う
の基本を怠ることに尽きるなと。わたし自身はいちばん高く登ったのが赤岳の途中までだけど、けっこうあるあるで、そういう意味で恐怖は想定内だったけど、怖かったのはヘリの離発着シーン! あれは怖いなー!

ネパールに着いてからベースキャンプまでの荷を運ぶヤクの列や、タンボチェ・ゴンパとその内部の法王猊下の写真もちゃんとある祭壇とか、タルチョや幟旗はためく風景、屋外でのチベット僧の儀式とお米を捧げる登山メンバーのシーンあたりも、チベット・ファンにはみどころ。

そして何も調べずに行ったので、難波康子*1さんが亡くなった隊の話であることに気づいてハッとした。映画だとわかりにくいけど、キャンプから当時、300メートルしか離れてないところで遺体が見つかったんですよね。無念だったろうなあ。思えば1996年、難波康子さんが亡くなったとき、47歳って凄く大人に感じてたのに、いまや自分がその一歳下になってみると、あのころ考えてた40代後半=立派な大人、とはかけ離れた仕上がりになっていることに愕然とする。

ところで字幕で気になった点が一つ。なぜザイルをロープと訳す? いやザイルはドイツ語だから英語でそう言わないのはわかるけどさあ、というところから、家に帰ってからナイロンザイル事件*2について、ネットで読み直してしまった。企業の隠蔽体質がなぜ発生するか、それを擁護する側の論理を知った事件。でも、いっときは企業を擁護してその従業員を守れたとしても、欠陥品で事故が続けば結局は失うものが大きくなるのにね。

*1:「「エベレスト3D」で描かれた遭難者の難波康子さん 「彼女が日の丸を立てるシーンが好き」と監督」http://www.sankei.com/premium/news/151108/prm1511080032-n1.html

*2:かなり長いけどここが読み応えあり、くわしい「書評――石岡繁雄・相田武男著『氷壁・ナイロンザイル事件の真実』を読む 折原浩200704」http://www.econ.hokudai.ac.jp/~hasimoto/Orihara%20Hiroshi%20Essay%20Hyoheki%20200704.htm