読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『ボクは坊さん。』

渋谷のロードショー館での最終日に(わたしにしては)早起きして滑り込み鑑賞。軽いタッチの映画かと思っていたら、けっこう深く切り込んでくる映画で、途中からぐすぐす泣いてました。

最初の方の高野山大学の興味深い授業と放課後のエピソードが終わってからは、「なんでこんなふつうのことを凡庸に見せるんだ?」と、各エピソードについて思っていたんですが、その凡庸さと当たり前に起こる生老病死・愛別離苦に寄り添うのがお坊さんの役目、というところに落とし込むための演出だったのかも?

言うなれば、泥の付いた蓮根が「産直ですよ〜」と並べられていて、泥の付け方がちょっとあざといなあ、と思っていると、その蓮根の先に蓮の花の蕾がつながっていることを知らされる、そんな感じ。

しかも、お坊さんが最初から寄り添う仕事ができているわけじゃなく、仏法をただ知っているだけではなく、周りの人からいろいろ言われたり悩んだりするうちにお坊さんになっていく、その過程がいやみなく描かれていました。日本の仏教を知ってもらうのに、字幕か吹き替えでいろいろな国の、とくに仏教圏のひとに見てもらったら面白そう。まず「戒名をつける」習慣にびっくりされちゃいそうだけど。

そして、ラストシーンは宗教の垣根を越えて祈りの力を信じたくなる描写でした。