『神なるオオカミ』
ジャン・ジャック・アノーが監督した中仏合作映画『神なるオオカミ』(英題:Wolf Totem)を見てきた。原作のあることを知らなかったのだが、調べたら原作の方が圧倒的におもしろそう。
……というか、うっすら読んだ覚えが。しかし、現在は絶版の模様。上下巻のところ、Amazonでは上巻は古本があって、下巻はkindle版がある。
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映画はオオカミが最初に襲いかかるところはぞっとするし、赤ちゃんオオカミや子どもオオカミ、草原の自然が美しかった。遊牧ゲルの嵐への備えや移動時の解体が見られること、モンゴルの草原での葬送儀礼が見られるのもうれしい。
ただ、飼育オオカミとの別れを原作から改変してしまったせいで、ジャック・ロンドンのオオカミ交流ものの亜流になってしまっているのは残念。あの部分にこそ、無茶な自然開発やら中国共産党政府批判やらへの暗喩が収斂しているんじゃないかと、おぼろげな読書記憶からは思えるのだけど。
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あと、主人公以外の遊牧ゲルの人々と飼育オオカミの日常的な関わりが画面に現れないので、飼育オオカミとの別れのシーンなどで、ふつふつと疑問が湧く場面もある。
でも、とにかくオオカミたちの姿、動き、咆え声の演技がすばらしいので、それでけっこう満足してしまうところもある。本編よりむしろメイキングの方が本番みたいだった『WATARIDORI』でもそうだけど、フランスの映画人のなかには、動物を馴らすということに心血注ぐ人が多いのかなあなどと思ったり。やはりルソーや『星の王子さま』を生み出す国だからでしょうか。
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ところで監督は『セブン・イヤーズ・イン・チベット』を撮ったことで中国入国禁止になったと聞いていたけど、今回、どういう経緯があって撮影にいたったのだろうか、気になる〜。
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