『山のトムさん』
特典映像のひとつ目がすごい。ベンガルともたいまさこが互いの青春時代を答え合わせのように付き合わせ、小劇場が熱気あった時代が語られる。ベンガルの芸名の由来、もたいまさこがまるで菅井きんのように30年前から変わらない&現在の肌の綺麗さにベンガルが驚嘆するところも拾い物。大げさではなく、ある一つの歴史の証言!
しかしこれ、「小林聡美とかわいい猫の今様素敵田舎暮らし」っていうのを求めてこの作品を見る人には、ぜんぜんかすらない気がするのがもったいない〜。
本編は石井桃子原作とか考えないで見た方が楽しめる佳品です。日本版『かもめ食堂』といった趣き。旧クウネルなどナチュラルライフ雑誌読者に向く感じ。日本家屋もこんな風にリノベーションしたら使い勝手いいな、とかそういう。
ちなみに原作の背景はこんな感じ。井伏鱒二によると、太宰治は石井桃子に惚れていたらしいけど、石井桃子の方はぜんぜんその気がなかったのだとか。このヘルシーで強い女性と付き合っていたら、太宰治は死なずに、性格も作風も変わったのではないか、なんて考えることがあります。