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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

健診×検診

トシをとってくると、だんだんいろんな不調が出てくる。が、日常生活を送れる程度の不調、あるいは自覚症状のない病気などは、健康状態をひととおり調べる*1健康診断=健診だけではなかなか見つからない。見つけるには、初期の成人病だとか、医学や保険業界の定義で癌とはまだ言えない*2性腫瘍以下、癌未満などのような特定の病気を早期に発見し、治療につなげるための検査=検診が有効だ。
といっても「検診って面倒なんでしょ?」「いやいや、うち癌家系じゃないし」などの理由もあり、なかなか検診に行く気がしない、という人も多いであろう。
そこで今回は、10年前からなにかありそうということで定期的に乳癌検診を受けていたところ、今年の検診でごく初期の良性腫瘍以下、癌未満が見つかったわたしが、検診にはどういう面倒がつきものなのか書いてみた。面倒ごとの内容がだいたいわかっていれば、検診を受けるハードルも低くなるのではなかろうか?とにかく健康でないと読書もできないので、本稿を読んで、検診を避けていたいいトシのみなさまが、定期的に検診を受けてくださるのがわたしの願いである

この10年、乳癌検診は今の会社近くの杏雲堂病院でやっている。四十路が見えてきた10年前に、なぜか今の正社員の健康診断より内容が充実*3していた派遣会社の健康診断で、乳腺の石灰化疑いから総合病院を紹介されたのだ。そこで半年に1回とか1年に1回、乳癌検診を受け続けていたのだが、今年の3月に「ちょっと気になるから半年後にまた来てください」と、年1回のペースに慣れていたところに言われ、めんどくせーなー、と思いつつ9月に行ったところ、右側が疑わしいとのこと
5年前に細胞診して空振りだったのは左だったので、ふーん? と思いつつ、10月上旬に細胞診に。5年前だから忘れてたけど、同意書にサインするため説明を受けて思い出したのだが、細胞診は麻酔なしで針刺してそのまま内部でぐりぐりと細胞を摂取するから痛いんですよね……。細胞を採られているあいだは痛みにより「いてえよ~!」と脳内が『北斗の拳』のハート様状態に。


hokuto-no-ken 北斗神拳 紅心 哈特 ハート大人 血!!!!! とても痛いです


さて後日、その結果を聞きに行くと、細胞診では判定できないので組織診をしますとのこと。「細胞診というものはてっきりDNA診断みたいになにもかもわかるのかと思ってましたよ」、と言うと先生に「いや、そこまで医学まだ進んでないんです」と苦笑される。
その場で10月下旬に組織診の予約を入れ、今回も同意書のため、細胞診に続きまたいろいろ痛そうな説明を受けた。組織診は細胞診と違って局所麻酔ありとのこと。よかったー。でも、「1~1.5センチくらい切開して、エコーの機械を当てながら0.5×1センチくらいの組織を3回、採ります。ばちん、という音が3回します」とか言われ、ぞみぞみする。そして細胞を採るだけの細胞診と違い、組織診は肉を切り取るので、あとから痛くなるそうで、うーん。シェイクスピアの『ベニスの商人』の台詞「This bond here gives you no drop of blood」を思い出したり。


「ヴェニスの商人」 予告


そして組織診の日。今回は検体採るのは痛くないのは聞いたとおりだったが、その前の麻酔のほうが痛かった……。細胞診のときのように、麻酔針を皮下に入れてぐりぐり動かしながら薬を入れていくんである。ううう。表皮に塗って時間を置くと内臓まで効く、みたいな麻酔はないのであろうか。そんなこわい薬品、危険だから発明されても販売ないのかもしれないが。そして終わってみると、検体採るために切開した切り傷がじわじわ痛い。
ところで病院というのはどうしてどこもかしこもああ暑いのであろうか。麻酔のときの痛さによる脂汗も含め、汗で頭頂部がかゆくなるほどであった。しかも組織診当日は、切開したからシャワーは可だけど入浴不可なのに~。
あと、先生が看護士さんに「3本目は採れた」って言ってたのが気になった。それって使える検体が少ないから、検査のために培養したりして次回のお会計増えるコースなのでは。今後どれくらい治療費がかかるのかビクビクしてるので、そういうのがいちいち気になる。会社の総務の人に聞いた話では、会社の保険だと高額治療費の自己負担が通常、8万円のところ、2万円までになるとのことだったが……。

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@羊肉酒場



えーい、ともかく肉を採られた分、肉を喰ってやる! と、病院から会社に向かう途中のラム肉屋で肩ロースともも肉のステーキランチにした。100グラムはちょっと物足りなかったので、今回の結果を聞く日には150か200グラムにしようと思いつつ、鎮痛薬をのむ。

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@眞踏珈琲店

それから会社近くの、若者がやっている新しいけど古風な喫茶店でアイスコーヒーとガトーショコラで落ち着きつつ、鹿島茂の神保町本についての対談を読み、出社。仕事してるとだんだん切り傷以外の痛みが出てきて、休憩時間で外出したときには「こりゃー、乳癌の手術した人が、手術した側の肩に術後しばらくは鞄かけられないとか、腕を上げづらいとか言うはずだわ」と思う。痛み止め切れかけの時点でできないわけじゃないけど、積極的にいつもどおりにしようという気にはならないのだ。

 
さて、止血のために貼られた筒状に巻いた包帯とテープを、16~17時になったら取っていい、ということだったので、血の巡りの悪い低体温・低血圧人間なので、念のため18時になってから剝がしたのだが、そこから定時の23時まで仕事して帰宅して着替えようとしたら、貼ってある防水パッチみたいなやつに血がにじんでる。止血失敗? っていうかずっと痛かったのはこのせいか? でも止血失敗してたらこれどころじゃなく血まみれなのか? そしてこの防水パッチの下の切開した傷口にちっさいテープが傷口が早くくっつくように貼ってあるんだけど、こんなに血がにじんでたら防水パッチを剝がすときに一緒に剥がれちゃったりしないのか? といろいろ心配になる。


閑話休題、ここで今回便利だったものを今後のためにもメモしてみる。といっても大したものではなく、まあ要するに女子のズボラ対策品がそのまま使えます。
(1)キャミブラとかブラトップと呼ばれるやつ
いちばん締め付け感ないブラで行ったのだが、止血のためにけっこうかさばる筒状に巻いた包帯を胸に貼り付けられるので、ワイヤー入りとかカップがしっかりしてるブラはあんまり向かないかも。痛くてブラのホックを後ろで開閉するのも億劫になるし、前開き和装ブラみたいなものがあると便利な気がする。

 

 帰宅後もまだ痛むので、寝る時クッション的にブラトップを着てからパジャマ着て寝た。というかこのあと数日にわたって痛み止めをのむことになる。


(2)眉マスカラもしくは描いた眉が落ちないようにする化粧品

www.orbis.co.jp

www.orbis.co.jp

病院の暑さと麻酔の痛さでけっこう汗をかくし、右手を上げ続けてるのもきつくて描き直しできなそうなので使った。この日のわたしのように検体採ったあとに仕事に行く人にはとくにおすすめ。


(3)メイク落としシート

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かがんで顔を洗うのとかもちょっと痛くてイヤンな感じなので、夏用に使ってた残りが役立ちました。ふき取りメイク落とし+コットンでももちろん可。

3日後、昼頃に起きてから切開痕の防水パッチに滲み出た血が褐変しているのを見て、たぶんもう大丈夫だろうと剥がす。すると驚いたことに、切開した傷口周辺の肌には血がこびりつくことなく、すべて防水パッチ中心部のカット綿的なものに吸い取られていた。血が傷口にくっついて防水パッチを剥がすときに引っ張られて痛いのではないか?という心配は完全に杞憂だった。えー、どういう仕組み? 医療用具の進化しゅごい!

medical-care.feed.jp

なおこの医療用ガーゼは「メロリン滅菌タイプ」という商品名のようだった。気になる仕組みは「ユニークな3層構造をもつ非固着性吸収性ドレッシング材」とのこと。しかし、メロリンですか。思わず山本太郎の顔が頭に浮かぶ


1週間後に組織診の結果を聞きに行ったのだが、「医学的にはまだ癌とは言えないが、癌になる可能性が高いので切除してしまいたい」とのことなので、告知の際に「がーん」と言う機会は延期に。いややっぱり言ってみたいじゃないですか? そんなことない? 切除に関しては、いまかかっている杏雲堂の先生が軸足のある東大病院でセカンドオピニオンを得てから手術になりそうな気配に。1センチ四方、胸の肉を切り取ることになりそうです。しかし、「組織0.5×1センチを3本取っただけでもまだうつぶせになると痛いのに、手術したら仕事とかどうなるんでしょう」と話したら、「組織取るより手術のほうが痛くないと思いますよ」とのこと。えー、そんなことあるかなあ? どういう仕組みなんだろう。
そして組織は3本のうち2本が採れていたようで、この日のお会計は思ったほど高くはなかった。といっても、こないだの基本の病理診断6640円ではすまず、それに加えて3割負担で5900円! まあ1本しか取れてなかったら8100円コースだったので……。でも高いよなー。映画何本見れたか、とか考えてしまう。なのでその後の昼ごはんはうどんですませ、ラム肉増量はやめておいた。
なおこの日は会計時にセカンドオピニオンを東大病院でとるために、杏雲堂の担当の先生から、東大病院の同じ先生宛の紹介状と、杏雲堂で採った細胞診と組織診の検体のプレパラート、杏雲堂でのエコー画像の入ったDVDをひとまとめにしたかさばる封筒を渡され、「これを持って11月10日に東大病院に来てくださいね」と言われる。東大病院の予約はよくわからない手段で先生がとっていた。


11月10日、東大病院に行ったはいいが、結果的に東大病院に患者登録をして、先生にプレパラートやDVDを渡し、先生がそのプレパラートを東大病院での再診断に出す、というだけに終わった。


……は? これわたし来る意味あったの? プレパラートとDVD届ける子どものお使い状態じゃん? 先生が自分で杏雲堂から東大病院に検体とかDVD持って行って再診断に出すってわけにはいかなかったの? と、初診受付にも時間がかかるだろうと、御茶ノ水駅の東大構内行きバス停に10時に来るのは、15時出社の身にはそうとう堪えるので、ちょっとイラッとした。まあ、検体も個人情報なので、先生が個人的に病院間で持ち歩きとかできないのかもしれないけど。先生も申し訳なさげだったけど。しかもDVDは中身をコピーしたからと「持って帰って保管してください」と言われるし。

だが、考えてみてほしい、これは通常10時出社の人間にあてはめれば、朝5時に会社近辺に来て用事を済ませ、その後いつもどおり出社して仕事をするスケジュールなのだ。
……貴重な睡眠時間返して。カ・エ・シ・テ。
なお今回の再診断の結果は2週間後に出るので、14日後にまた通常の起動時間より5時間早く起きねばならない。そうして手術をするかどうかがようやく決まるのである。

そしてそんな内容なので病院滞在時間も1時間ちょっとで、出社まで時間が空いたので、四谷の母校というか出身幼稚園で、出身小学校脇に校庭に日が射さないようなマンション建築への反対署名をしに行き、四谷から市ヶ谷まで土手を散歩し、市ヶ谷からまた御茶ノ水まで戻ってきたのだった。


というわけで、ごく初期の良性以下癌未満が見つかるだけでもこれだけいろいろとめんどくさいので、いいトシの方々は健康診断=健診だけでなく、歯科検診、癌検診などの検診を、ぜひ定期的に受け、あんまり面倒なことに巻き込まれないようにしていただければ、と思う。検診ではなく、健康診断=健診で見つかるほどに病気が大きくなってからだと、治療費も高くなるし、仕事を休む期間も長くなるし、休んでるからといっても体調はよくないから好きに本を読んだりもなかなかはかどらないからだ。どっとはらい

*1:おざなりに、ともいう。

*2:つまり入っている民間保険の定義によっては手術に保険が利かない可能性があるっていう。

*3:20、30代に乳がん検診が有効との根拠はまだなく、不利益のほうが多いとされているため、自治体などの乳がん検診は40代以上が対象。