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「中国の不思議な役人」

「役人」は、これまで何度か見たときには、宝塚のレビュウの衣装のようにスパンコールと羽根のついたレオタードを着て男が演じる「娘」役は、女性に見えなくもない体格の男性ダンサーが演じていることが多かった記憶があるのですが、22日の公演では明らかに男性とわかるムキムキの腕と脚が華やかなレオタードからにゅっとのびていて、さらにその姿でビッチな素振りが強調されているのが、ベジャール作品の退廃と倒錯をよく表していて、これまでのこの演目への印象がだいぶ変わりました。

タイトルロールを踊ってきた木村和夫さんの最後の「役人」公演ということで、演出もいつもより力が入っていたのでしょうか?(なお翌日23日は女性にも見えそうななよやかな男性ダンサーによる「娘」だったとのこと)
木村和夫さんの「役人」を見るのはたぶん2度目くらいだと思うのですが、登場するなりやはり異物っぷりが半端なく、得体の知れなさにおいて、ゴーレムやキョンシーをも超えるかという恐ろしさでした。

首領役の柄本弾さんはちょっと悪人の頭にしてはハンサムすぎないか? と思ったり。個人的には23日の森川茉央さんの首領役の方が好みかも。以前のザハロワ×ボッレの「ジゼル」でのヒラリオン役の野卑な演技がすばらしかったので、22日にジークフリート役で出てきた金髪のままで、首領のスーツを着てワルさを発揮してほしいな〜、なんて思ったり。

なお、1階9列目の席が、オケピットから席が始まっていればの話で、実質的には4列目だった件に関して、夫の人は開幕前は
「前過ぎた。デュポンたんのトウが見えない」
と、ぶつぶつ言っていたのに、「役人」が終わったら
「いやー、この演目は近くで見るとよりベジャールの変態性がよくわかってイイね」
とご満悦。さらに
東京バレエ団は芸術監督が女性にかわってから、いろいろよくなったよね。斎藤友佳理さんはきっとBL好きに違いない!」
ワクテカしていました。