半可通の空目と妄想
出先のトイレの洗面台に置かれたスプレー缶に書かれた「shoshugen」を目にして、しばらく悩んでいた。
ドイツには、ロイトリンゲン(Reutlingen)、テュービンゲン(Tuebingen)、ヘッヒンゲン(Hechingen)、ジクマリンゲン(Sigmaringen)、ドナウエッシンゲン(Donaueschingen)などなど、「gen」で終わる地名が数ある。それで、「shoshugen」とはどこのことだろう、と考え込んでしまったのである。
きちんと学ぶということをせずに、興味のあるところ、仕事に当面、必要なところだけつまみ食いしているから、こうなる。正確には、ドイツ語で「〜の地」を表す語尾は「ingen」だからだ。
そんないいかげんなわたしだが、違う言語の単語同士をつなげているものは、ちょっと気持ち悪く感じてしまう。たとえば神保町駿河台下のこの店。
「hair salon HOMME HAIR」とあるのだが、英語で始まり、唐突にフランス語が投げ込まれ、あとが英語なのである。
ちなみにフランス語で男性向けヘアサロンは「salon de coiffure pour homme」。coiffure の意味は「理髪」だ。
また、この店の窓には「HOMME HAIR」とのみあるのが、なんともカタコトっぽい。「オトコ 髪 だいじネ。うち イイ髪 アルヨ」と、一目でそれとバレるヅラなどを出して来られそうだ。
なおこの店名、オムヘアーと読むそうだが*1、頭にオムレツのような黄色いベレー帽でものっていそうだとも思ってしまう。
そんなわたしは寝ぼけ眼で朝刊の一面下を見て「◯◯で覚える英単語」みたいな「浅倉大介で覚えるドイツ語」用の辞書かー、浅倉大介すごいな、と思った。あとソフトウェアのほうのアクセスもちらりと。
というかですね、独和辞典なのに英単語がタイトルに付いてるのって、どうなのか。
ちなみにドイツ語でアクセスに当たる単語は「Zugang」。なにかこう、ジャガイモとソーセージで固太りして堅実なドイツ人っぽくて、なかなか好ましい。こういう半可通ならではのイメージの飛躍も、空目してしまうのに一役、かっているのかもしれない。