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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

スローモーション

高校の修学旅行では奈良・京都に行った。今の母校はそんなことはないが、その頃は女子高で一学年十二クラスというマンモス進学校だったため、泊まった旅館はどこも巨大だった。

そのうちの一つ、京都で泊まった旅館は増築に増築を重ねたのか、変な間取りの部屋があった。部屋の窓の外、一メートルほどのところに隣の部屋の窓があり、その間はベランダというかコンクリートの廊下のようになっていたのだ。われわれはひとしきりその窓からあっちとこっちの部屋に出入りし、はしゃぎ合った。

 

さて、女子高だったら就寝時に異性の生徒がまざっていないか、先生が巡回しに来ない、というわけにはいかない。むしろ、盛り上がっている部屋にどんどん女子がなだれ込んでいるのを、それぞれの部屋に返すお仕事が先生たちにはある。

で、そのように先生がわれわれの部屋に来るというときに、隣の部屋から窓伝いに遊びに来ていたとある女子が言った。

「この窓から戻ればラクじゃね?」

そういえばそうだね、とみんなが頷き合うなか、先生が部屋のドアを開けるのと同時に、彼女は窓のへりに足をかけ、跳んだ。隣の部屋の窓へと。

びたん、とかいう音がした。さっきまで開いていたあっちの部屋の窓は、閉まっていた。そして、窓に嵌まっていたのはガラスではない、強化プラスチック的なものであるらしかった。そして、彼女は隣の部屋の窓に張り付いた状態で、ずずず、とずり落ちた。スローモーションのようであった。

その後、こっちの部屋もあっちの部屋も先生に怒られたのはいうまでもない。

 

なお、これは窓からしかお風呂に入れない「理想の家」とやらの間取り。これが理想とは、忍者一家かなにかなのだろうか。

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今週のお題「修学旅行の思い出」

 

 

 

◯・ラジオ体操第一

×・プランク

◯・起床時膝抱えストレッチ