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世界バレエフェス〈ガラ -Sasaki Gala-〉とファニー・ガラ

Aプロ、Bプロと見てきた三年に一度のバレエフェスも今日で終わり。数日ずつの公演のA・Bプロとは違って一日だけの公演のみのガラは、チケット入手の競争率が高くて、これまで見たことはありませんでした。が、「コンテンポラリーが多い」とか「最後にダンサーによる仮装大会的なお祭り騒ぎがある」と仄聞していて、気にはなっていました。今年はA・Bプロともチケットを買うと、ガラの当選率が上がるキャンペーンをやっていたので申し込んでみたら、当たったので、行ってみました。感想としては、うん、これはチケット争奪戦になる内容ですね……。というわけでその中でも特に心に残ったものをメモ。
 

 

・第一部
◆オレシア・ノヴィコワとデヴィッド・ホールバーグで「白鳥の湖」グラン・アダージオ
カブキグラスというサングラスのようにかけて使うオペラグラスで見ていたのですが、ノヴィコワのオデットは踊りはすべてのラインが美しく、この上なく優雅なのですが、表情が、呪いをかけられた苦悩に口惜しさというか恨みが混じっていそうな迫力。オディールと同一人物設定で、毎回「男なんてやっぱり信用できないっ!」と叫びながらロットバルトに連れ去られてそうな。
しかしノヴィコワのオデットのときに変な鼻歌流れてたのはなんだったのか……。美しすぎるオデットにやられた自分の幻聴かと思ってたのですが、ほぼずっと聞こえていた。
◆ドロテ・ジルベールとマチアス・エイマンで「グラン・パ・クラシック」
素晴らしかった! ドロテ・ジルベールの編み込みの髪型に紅薔薇一輪も素敵だったなあ。なのに東フィルの演奏、最初のパートの管楽器が不安定でしまらないこと……。いつ音を外すかヒヤヒヤ。難しいパートではあるけど、最初のパートだけが不安定だっただけに余計に残念。
・第二部
 ◆サラ・ラムとマルセロ・ゴメスで「ロミオとジュリエット」第1幕のパ・ド・ドゥ
今日のジュリエットはサラ・ラム。そうそう、こういう初恋の高揚で宙に浮き上がっちゃいそうなジュリエットが見たかった! ロミオもジュリエットの高揚に引きずられて浮き足立つような。ゴメスは安定のサポートっぷりでした。
アリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲルで「モノ・リサ」
 ガラのなかでもこれが特に凄かった。段ボールからガムテを剥がすような音で構成されたインダストリアルテクノっぽい音で始まり、バレエは超絶技巧の連続! フォーサイスのイン・ザ・ミドルをさらに発展させたような感じで、大好物!
 
・第三部
◆ジル・ロマンの「リーフ(葉)」
 今回、ガラの、それも「佐々木忠次へのオマージュ」のみ出演のジル・ロマン。60近いはずなのに、とてもそうは見えない……。世界初演という貴重な舞台を見ました。
これは悪い意味で心に残りました。生演奏で彼女のボレロ……。彼女のボレロはなんだかテンションが一定じゃなかった。昔は特になにも降りてこないけど、テンションは一定だったけど、うーん。観客の集中力を途切れさせないよう、ダンサーがテンションを一定に、なんならクレッシェンドしていくことで何かが降りてくるような状況を作り出すのがこの演目だと思うのですが。生演奏も難しい曲だけにところどころ外してたし……。
 
・第四部
◆アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー、デヴィッド・ホールバーグで「マルグリットとアルマン」
 コジョカルはかわいらしすぎて高級娼婦って感じがあまりしないのですよね。でも美しいのでよし!
◆ロベルト・ボッレとマチュー・ガニオで「プルースト失われた時を求めて」 "モレルとサン・ルー"
 BL好き垂涎の演目です。それをこの美男二人が!!!!! 鼻血が出なかったのが不思議なくらい。

◆レオニード・サラファーノフ、ダニール・シムキン、ダニエル・カマルゴの「アー・ユー・アズ・ビッグ・アズ・ミー?」
以前、「バレエの王子様」という男性ダンサー多めの公演で見たかなり笑える演目です。三人の技量が高くないと完成しない=笑えるレベルまでにならない、という意味で、凄腕ダンサーばかりが世界中から集まるこのフェスにぴったり。
・第五部
ファニー・ガラで最後は神々の遊びを見ました。帰りに張り出されていた配役表で、「あれはあのダンサーだったのか!」とびっくりしたり。f:id:Mmc:20180822005417j:image
キャンディ・キャンディみたいな髪型のサラファーノフのジゼルと、一見ドン・キのガマーシュのようで、帽子を脱いだら落ち武者ハゲ、しかもハゲ部分にぽよぽよ毛が生えてるという手の混みようのアイシュヴァルトのバジルの掛け合い、巨大なキティちゃん(男)、「あたしを誰だと思ってんのよ!」とばかりに蹴落とし合う三羽の白鳥(全員男)、そしてゴメスがオネエなメイクに筋肉ムキムキで黒鳥のバリエーションをほぼ踊り切ってた! 岡田あ〜みんぽくて最高!

あと、男子二人がセーラームーンで登場したけど、体格差でセーラームーンというよりポプテピピックぽかったです。
なおA・Bプロ同様、今日も四時間耐久コースでその最後がこのファニー・ガラだったので「夏が終わった……。真っ白な灰になったぜ……」な気分に。
そして、客席にロパートキナ様がいらしたとの目撃情報多数。フェリを見て復活する気になってくれないかなあ。いや、ないだろうな、性格的に……。と思っていたら、当日のお写真が。ロパートキナ様、普通の人の体脂肪率に近づいてると思われるフェイスライン。復帰はやはりないな……。
ギエム、そしてロパートキナ様が引退したとき、夫の人が「神は全てを与え、全てを奪うのですね(涙)」と言っていたのを「おおげさw」と思っていたけど、今になってそれを噛み締めています。