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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017/18『白鳥の湖』@TOHOシネマズ日本橋

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ロイヤルバレエの『白鳥の湖』改訂版を映画館で。最終日だからか、平日だけどかなり席は埋まっていました。

マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフの主役二人が安定を超えて光り輝くようなバレエで、衣装や背景、舞台美術を見る余裕があんまりなかったのが残念。第一幕のお嬢さん方の衣装の二種類の縦ストライプは若干、壁紙感あるのがイギリスっぽい。わたしは上半身の前中心や後ろ中心に小さなボタンが並ぶドレスのデザインが好きなのですが、ストライプの片方が前ボタン並びタイプなのもツボ。

そしてオデットとオディール同一人物説を考えさせられる舞台でもありました。舞踏会で王子がもうメロメロなのに、キス(それも手への)や抱擁を執拗に拒絶する黒鳥は、王子から顔を背けた途端「白鳥の時は真顔で結婚を誓ったのに、なにこのデレデレ具合!やっぱり男って信用できない!」と鍵垢でツイートしていそう。

ロットバルトに関しては、先王である王子の父に占領されてしまった国の王が、同じく占領された国の王女を巻き込んで、王子の国を破滅させるのが目的かなーとか、政治的な背景をどうしても考えてしまいます。特に今回は舞踏会で、王子である息子が騙されてがっくりの女王の頭から王冠をむしり取っていたというのもあり。

そして、そうだとすると、ブルメイステル版でいろんな国の踊りで王子を翻弄する舞踏会も、王子の国が蹂躙してきた国や人々の恨みが人の形であらわれたようにも思えてくるのです。

とはいえ今回の改訂版では各国の踊りの人たちは最初からいる純然たる招待客で、ロットバルトの手下ではなかったけど。そしてロシアの踊りがないのは、ここ数年のイギリスーロシア間のキナ臭い事件のせい? などとも考えてしまいます。ポロニウム事件とか……。ちなみにわたしはロットバルトに関しては、王子の家庭教師でBLっぽいバージョンが好き。

なおネタバレ寸前ですが、ラストがちょっとマシュー・ボーン版っぽかった(ほかにもインスパイアされたらしきところはあったけど)。チャイコフスキーの音楽はやはり悲劇が引き立ちますね。

 

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