オッペルか、オツベルか
今日、ふと目に留まったネット広告。「サンタマリヤ」の表記だと、自動的に宮沢賢治の『オッペルと象』が思い出されます。
こどもにきかせたい童話~赤ずきん・ヘンゼルとグレーテル・オッペルと象・はだかの王様~
- アーティスト: 童話,田村淑子,風見京子,樫山文枝,片岡みどり,田端典子
- 出版社/メーカー: HiHi Records
- 発売日: 2008/02/27
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
ところでこのオッペル、青空文庫だと「オツベル」なのですが、PEなの? BEなの? どっちなの? と調べたら、BEだけど初出からオッペル表記で、PE時代が長くて馴染んでいるから、両方あり、ということのようでした。
ある晩象は象小屋で、三把の藁をたべながら、十日の月を仰ぎ見て、
「苦しいです。サンタマリア。」と云ったということだ。
こいつを聞いたオツベルは、ことごと象につらくした。
ある晩、象は象小屋で、ふらふら倒れて地べたに座り、藁もたべずに、十一日の月を見て、
「もう、さようなら、サンタマリア。」と斯う言った。
「おや、何だって? さよならだ?」月が俄かに象に訊きく。
「ええ、さよならです。サンタマリア。」
ふーむ、ではいつごろまでオッペルだったんでしょうね? わたしは子どもの頃読んだのがどっちなのかあやふやですが、オッペルな記憶。でもうちにあった古書の表記がそれだったのかも?
調べてみると、1973年の全集で訂正されたらしい。それなら、わたしの幼少期には、訂正前のものがまだ読まれていたということもありそうです。あの頃は、祖父母から譲られてきた本などもあり、社会的にも本というものが、まだ大事にされていたものでしたし。
ところでオッペルというとOPEL?と思ってしまうわたしは、オツベルのほうがニセモノっぽく感じます。でも本来はオツベルなのかぁ。宮沢賢治はどこの言葉のどんな名前に着想を得たんでしょうね。グスコーブドリとかもちょっとロシアっぽいような、あるいはチェコっぽい、シュヴァンクマイエル的な不思議な印象があります。宮沢賢治が使っていたエスペラント語からきているのだろうか?
と、またふらふらとネットをさまよっていたら、オッペルはドイツ語起源では? という説を発見。ふーむ、ではオツベルの語源説も知りたいですね。と、調べていたら、はてな内でこんなエントリ発見。
このエントリ中の「Otbert」を宮沢賢治の好んだというエスペラント語風に発音したら、オトベルもしくはオツベルになりそうな気もします。
宮沢賢治全集〈8〉注文の多い料理店・オツベルと象・グスコーブドリの伝記ほか (ちくま文庫)
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/01/01
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (23件) を見る