妄想『仁義なきサスペリア』
グァダニーノ版『サスペリア』、公式サイトの町山智浩さんのネタバレ解説動画を見て一晩たったら、脳内で町山さんのヤクザ映画解説や、それにつられて近年のたけしのヤクザ映画が混入したのか、クライマックスシーンで妄想が展開する次第。だってほら、悪役がサングラスとかかけてるし。
あと、スージーの真の身体から出る悲しみのため息(サスペリアはススピリオルム=嘆息から)が、解説を聞くまでは猫の威嚇音の「フーッ!」「ハーッ!」にしか聞こえてなかったのも影響しているかも。というわけで、妄想版『仁義なきサスペリア』。
◆『仁義なきサスペリア』
スージー「おんどれ、わいが新世界(アメリカ)に出張(でば)っとる間に何してくれてんねや、あぁ? ワレ、誰の盃受けてここまでになったんや」
マルコス「なんや? もともと代紋かついどんのはこっちや」
スー「ワシ自身が代紋や。おんどれのその代紋、もとから偽もんやがな。偽もんが、よう働いてくれたブランの叔父貴まであないにしてしもうて!」
マル「ひぃっ、えろうすんません」
スー「すんませんだぁ? おんどれ何さらしたんかわかっとんかい! しょうもないことしくさりやがって。しばくどオラァ!」
側近の悪魔(中身は映画『アウトレイジ』の加瀬亮。無言のまま一撃でマルコスを殺(や)る。その後は粛々と裏切り者を斬ったり撃ったり)
スー「サラの兄ぃ、ようしてくれたんに、助けられなくて……。すんません」
サラ「スーやん、もうワシは駄目や……。こうなったらもう、いっそお前の手で殺してくれや」
スー「兄ぃ……」
悪魔(二人の周囲で引き続き粛々と裏切り者を粛清)
翌朝、壁の前から舞踊団ホールに戻ってきたスージー、昨夜の記憶を消されて明るく集まってくるダンサーを呆然と見ている、生き残った幹部1に檄を飛ばす。
スー「何ボーッとしとんねん。シャキッとせんかい、シャキッと! もう朝やし、顔も洗えや。おかし思われるやろ、そんなおてもやんみたいな赤〜い顔して」
その頃、地下室で昨夜の殺戮のお片づけ中のその他、生き残った幹部たち。
幹部2「えらいことなったわ。こんなことならもっとマルコス派に根回ししてブラン派、増やしとくんやった」
幹部3「これからスーやんの下で、少数精鋭でやってかなかんで、なんでも情報公開が大事やな」
幹部2「ブランはんもこないになってもうて、って、ヒェッ、まだ生きてはる?!」
と、いろいろと捗る妄想を夫の人に語ったところ、
「でもさあ、実際のところ、バレエ団ってそういうもんなんじゃないの? 特に、ロシアのバレエ団とか」。
つまり、やっぱり、生きてる人間が、いちばんこわい、ということですね……。