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モヤモヤ映画『Girl/ガール』

最初、この子は女の子になりたいのか、それともバレリーナになりたいから女の身体がほしいのか、とかいろいろ考えてしまった映画『Girl/ガール』、いろいろ痛い映画でした。

心理的な痛さは、トランスジェンダー(というかトランスセクシャル?)の悩める青春というより、大人になってからだと拙速にしか見えない判断をしがちな思春期残酷物語にあるような。

物理的な痛さは少年の体でバレリーナを目指すのは、大人から始めたバレエとは違うだろうけど、周りから四年も遅れて身体も重くなってる16歳からトウシューズを履いて慣れなきゃいけないところや、公式サイトの作品紹介で「映画史上最も鮮烈でエモーショナルなクライマックス」とあるあたり。

 

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あのー、「鮮烈でエモーショナル」とかいいように言ってますが、トランスジェンダー手術について説明されたの、ちゃんと聞いてた? と主人公の肩を掴んで揺さぶりたい気持ち。××しちゃったら○○作れないじゃん?

最後は長かった髪もセミロングになっていて、バレエ学校には復帰したのかどうかわからないのもモヤモヤする~。『リトル・ダンサー』(原題:Billy Elliot)みたいに最後はダンサーとして踊るところで〆てほしかった……。そのあたりが初監督作品たるところでしょうか。

 

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ところでこの映画の感想で「骨ばり大きくなった足を小さくなったバレエシューズに押し込め」「バレエシューズの中に閉じ込めることのできない足は血まみれに」とかが散見されるけど、トウシューズで血まみれになるのはプロでも珍しいことじゃないんだけどなあ(あとバレエシューズの集合にトウシューズが含まれるのではなかったり)。

わりとしょっちゅう爪割れたり剥がれたり爪が膿んでたりして、しかもそこに痛み止め打って踊ってたりするんですよね。

 

「土曜日の夜の公演後に当時のプリンシパルが怪我をして、舞台監督から『月曜の公演に出られるか?』と聞かれたんです。3つの作品からなるネオ・クラシックバレエで30分ほどの作品だったのですが、その短い時間のなかに難しいパ・ド・ドゥ(男女2人のダンサーで踊る作品の見せ場)が5つもある。しかも、打診をされたのは、私自身も膿んでいた足の爪を取ることになっていた日でした」

 

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