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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

モエレ山で親指を挫く

北海道旅行の最終日、モエレ山に登った。モエレ山は札幌郊外のモエレ沼公園にある高さ52メートル、ほぼ左右対称、遠景からはなだらかでのどかに見える人工の山である。そう、遠景からは*1

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しかし、このモエレ山、登り始めると途中からいきなり斜度が激しくなる。20%くらいはあったと思うが、さきほどネット検索したら、「最大斜度30%」とあった。うわあ。

だが、こちとらなんとかと煙のクチで、登れそうとみればもう登ることしか考えられない単細胞。わたしみたいな者たちが過去につけた、斜面の草がほぼ直線で山頂まで削れているけもの道のような部分を見つけ、直登した。

麓から見ている分にはこのけもの道、赤子を抱いた親や子どもなども登っているのでハイキング気分だったのだが、いやこれは立派な登山です。スタミナが持つうちにと一気に登りきったところで座り込んだら、ひさびさに膝が笑っているのに気づいた。

平らに整備された山頂の縁に座って息を整えながら札幌ドームなどを眺めていると、直登が難しい人向けだろうか、反対側の斜面に螺旋状の階段を発見、下りはそれで降りた。というのも山頂の縁に座って直登した斜面を見下ろすと、とうてい無事に降りられるとは思えない眺めだったからである。

しかし札幌市民は斜面に飢えているのかなんなのか、赤子を抱いた若い母と、その赤子の兄であるらしき幼児は、その斜面の草を掴みながらも降りていくし、小学生男児三人組は「斜面三人で転がり落ちたらヤベーかな?」などと笑い合っている。男児三人は螺旋状のほうではなく、マヤのピラミッドの階段のように頂上からまっすぐ麓へと続く、なかなか厳しそうではあるが、直登よりは易しそうな階段に去っていったので、他人ごとながらホッとした*2

 

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ところでその札幌から帰宅して気付いたのだが、右足の親指がおかしな感じに痛い。踏まれた記憶も踏み外した覚えもないのだが、なにかそういう痛みである。なんなのだろうか、と考えて思いいたったのがこのモエレ山である。

というのも、登っているときにアウトドア用ではないブーツを履いていたせいか、激しい斜度のせいか、ブーツのなかで靴下が脱げてきて、おかしな感じに靴底を踏みしめながら登っていたのである。そのときにいつもと違う負荷がかかり、踏みしめるごとに少しずつ親指が捻挫に近い状態になっていったのではなかろうか。

どんな山でも装備は大切、といういまさらながらの教訓を、右足親指捻挫とともに得たモエレ山登山であった。 

www.moerefan.or.jp

※「月刊暗黒通信団注文書」2019年11月号初出原稿を改訂

*1:なおモエレ沼公園は東京における夢の島公園同様の来歴を持つ。モエレ山もまた然り。

https://moerenumapark.jp/environment/

*2:どちらの階段も公式ページに写真あり。https://moerenumapark.jp/mountain/