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待降節なのでクリスチャンぽいことを書く・その2

バブル期、十二月の会社の飲み会の二次会で、「クリスチャンならクリスマスソング歌ってよ~」と言われた。そこでわたしにとってのクリスマスソング、つまり教会で歌われるクリスマスの歌を歌ったところ、「なにその辛気臭い歌~」と笑われて、プチっと切れたことがある。辛気臭いだと? しみじみとしたこの歌の美しさが分からないとは、もののあはれを知らぬやつめ!

なおこの時歌ったのは「星のみ匂いて」の聖歌*1、『ああベツレヘムよ』である。

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そこから「お話し合い」で、相手にとっての「ごちそう食べてケーキ食べてシャンパン飲んでプレゼントもらう」「クリスマスソングといえばプレゼント交換の際のB.G.Mの定番、『赤鼻のトナカイ』あたりを想定」というクリスマスと、クリスチャンであるわたしにとってのクリスマスの違いについて「すり合わせ」をした。

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わたしだけでなく、先方も酔っぱらっていたので、翌日にはすり合わせた内容については忘れていたようだが、わたしについては「めんどくさいやつ」という印象が残ったようだった。

さて、その「すり合わせ」の中で、おそらくクリスチャン以外の方の多くが、今でも誤解していると思われることがある。これまでも書いたことがあるが、リマインドとしてメモしておく。

 

Q1:狭義のクリスマスとは12月の何日の何時から何時を指すでしょう。

A1:ユダヤ暦を継いでいる教会暦では、日没が日付の変わり目となっている。このため、24日の日没から25日の日没までを「クリスマス」という。

 

Q2:クリスマス・イヴとは何を指すものでしょう。また、12月の何日の何時から何時まででしょう。

A2:クリスマス・イヴの「イヴ」は「イヴニング」と同義であり、クリスマス・イヴは「クリスマス当日の夜」を指す。日本では「クリスマス(12月25日)の前の夜」あるいは「12月24日の一日」と認識されているが、A1で記したように、教会暦的な「夜」とは日没後の時間を指すため、クリスマス・イヴ=クリスマス当日の夜=12月24日の夜となる。
イヴを「前夜」と認識し、12月23日を「クリスマス・イヴ・イヴ」などといっているものを時折見かけるが、そういうわけで、「クリスマス・イヴ・イヴ」は「クリスマスの夜夜」となり、意味不明な誤用である。

 

Q3:イエス・キリストの誕生日はいつでしょう。

A3:「クリスマス」は「キリストのミサ」を指すが、様々な歴史的研究から、イエス・キリストは12月には生まれていないだろうというのが定説である。教会で歌われるクリスマス・ソングにも反映されているイエス・キリスト生誕の日の様子のひとつに、このようなものがある。

 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
 「いと高きところには栄光、神にあれ、
 地には平和、御心に適う人にあれ。」
 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。 その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。 聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。 しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。(ルカによる福音書 2章 8~21節)

ベツレヘムとは、現在のヨルダン川西岸地区南部にある場所である。12月の気温は東京と大差ない。

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そのような寒さで、羊飼いが夜を徹して屋外で羊の放牧をするかといったら、NOであろう。つまり、イエス・キリストの誕生日は12月ではなく、もっと温暖な季節だったと思われる。それが12月25日と定められた経緯は、キリスト教ローマ帝国の国教となる過程での政治的な判断によるものだ。

つまり、歴史的なもののわかったクリスチャンにとって、クリスマスというのはイエス・キリストの生誕を記念する祭日であって、その誕生日を祝うものではないのである。12月25日は、世界には戒律を超えて神の愛があると説き、その愛を人と人の間に在らしめることが地上を神の世にする、と考えたその人が生まれたことを記念する日なのだ。

そして、イエス・キリストの誕生日がほんとうはいつなのかは、いまのところ、誰も知らない。

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 今週のお題「クリスマス」

*1:なお教会で歌う歌は、カトリックでは「聖歌」、プロテスタントでは「讃美歌」という。