パリ・オペラ座バレエ団2020日本公演追記
先日、「ああ、今頃オネーギンの、そして今回の引っ越し公演の千穐楽……」などと思いながら調べ物をしていて、鑑賞記に漏れがあったな、と思い出したので、追記。
◆『ジゼル』
パトリス・バール版の、ジゼルの父が誰であるかを示唆する目配せのある舞台でした。『オネーギン』のオリガ、タチヤーナ姉妹の母も服装に似合わず若いけど、ジゼルの母ベルタも仕草もオペラグラスで見たお顔も若かったなあ。
◆『オネーギン』
始まってすぐ、あくまでも読書を続けるタチヤーナの前で、彼女の妹オリガと隣近所の少女たちが踊るシーン。オペラグラスでタチヤーナを見ていると、かなり冷た~い視線で踊る少女たちを見た後、本に目を戻すのを見て、なるほどこういうところがオネーギンに惹かれる理由なのかな、と思ったり。
タチヤーナは少女仲間内では、陽キャなオリガの仲立ちで、変わり者だけど仲間外れにされていないのかな、なんてことも考えたり。
◆パンフレット
あのですね、画像の解像度に異様にばらつきがありましてですね、ちょっと落ち着かない気分にさせられました。美しいものと、1980~90年代ごろの旧共産圏のお土産の絵葉書を思い出すようなザラザラ感のあるものが一冊のなかで共存しているのです。
表紙はちょっとフォトショップっぽい。それでもぱりっと綺麗にしようということなのだろうな、と開くと、オペラ座のバルコニー席写真。彫刻の隅々まで綺麗です。
が、その次、今回の日本公演のスケジュールが載っている見開きの、オペラ座名物の階段を臨む写真の解像度がいきなり低い。
その後のオペラ座の由来と現在を紹介する見開きの、バルコニー席から舞台を臨む写真は美しいです。よかった。
ところが、『ジゼル』という作品の成立を解説する中で、初演バレリーナのおそらく油絵と思われる絵の解像度が、またがっくりと落ちており、こちらのテンションもがっくりです。
うーむ、一冊のパンフレットの中でどうしてこういう不統一が起こるのだろう、オペラ座での資料のレファレンスはどうなっているのだろう、いろいろ考えてしまいます。