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バレエ鑑賞と「STAY HOME」その2

お題「#おうち時間」はわたしには訪れないまま、五月が終わろうとしていますが、なんとなく休みの日にはネットでバレエを見る日が多くなってきたかも。というわけで最近見てよかったもの。

 

◆イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)『NORA』(公開終了)

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原作はイプセンの『人形の家』。素晴らしかった! 音楽はフィリップ・グラスで、今月23日の朝4時まで公開予定でした。『人形の家』って、現代でもよくあるようなトラブルで、それこそ家庭板に定期的に報告されていそうな話だな、とあらためて思う。

ほんの30分ほどの作品なのですが、ノラ役のクリスタル・コスタのテクニックもさながら、表情の演技が秀逸。エリートの夫の傍で、あんなにとろけるように幸せそうだったのに、夫の「愛」の本質に気づいた瞬間の嫌悪感、出て行く気持ちが固まってからの完全に夫に興味を無くしていく、なんなら他人目線で憐れむような目つき、顔つきが凄い。

夫役のジェフリー・クリオはENBのアクラム・カーン版ジゼルに続いて厭な男の役。こういう役が好きなのかなあ。いや、似合うけどもかっこいいので正統派王子様もたまには見たい。

ちょっとNoismっぽく感じられたのは、「声」たちの衣装や舞台装置、音楽の使い方のせいかな。Noismが踊るこの作品も見てみたいし、2010年に再演されたというNoism版『人形の家』も見てみたい。

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◆英国ロイヤルバレエ『アナスタシア』

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ケネス・マクミラン振り付けで約2時間、日本時間で5/29の午前3時まで公開中。

1~3幕のうち、1~2幕がロマノフ王朝のきらびやかな世界、3幕はロシア革命後のアナスタシアの精神世界。赤子が出てくるので、いちばん有名なアナスタシアの僭称者アンダーソンがモデルなのかな。

そうなるとどうしても、3幕のアナスタシアは作劇上、本物か? ということがちらついて、1~2幕が3幕の人物による「回想」だとしたら、そこで踊りによって演じられたことはどこまで信用していいのか? という気持ちになってくる。

ニコライ2世とマリインスキーのバレリーナとの関係も出てくるけど、ずーっと美しいアナスタシアの母・アレクサンドラと比べて、俗っぽいいやな女として出てくるのはアナスタシア目線なのか、振り付けたマクミラン目線なのか、とか。

そこに至るまでの1~2幕は衣装も舞台装置も見どころたくさんです。3幕はとにかく振り付けとそれをこなすダンサーたちが凄い。ただ同じマクミランの『マノン』の「沼地」を想起させられますね。こういうところに振付家の手癖が出るのかなあ。

 

ほかに見たいものリストに入れているのはこちら。

 ◆#Chainof8 Dancers creation during corona times in Japan

youtu.be

◆「こと問はず 舞い それ答えずして をどる」#1~#4

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◆世界のダンサーたちからのメッセージ〜〈Hearts for Artists〉

balletchannel.jp

眠れない夜はあなたも、こちらのリストから興味を惹かれた作品を見てみませんか?

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