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固定電話の保留音

先日、問い合わせることがあってかかりつけ医のクリニックに電話した。クリニックは耳鼻科なので、今の時期は花粉症対応で忙しい時期だ。なので、受付の人が電話を取るまでの呼び出し音も、かかりつけ医に代わるまでの保留音もいつもより長く聞いた。

保留音はよくあるタイプのメジャーなクラシック曲の電子音バージョンだ。ただ、録音されたそれが何度も繰り返し使われて、音程がずれているような音であった。ここの電話の保留音、こんな音だったっけ? 前に電話したときの保留音がちっとも思い出せない……。そう思ううちにフレーズが五巡くらいして、かかりつけ医が出た、と思ったら謝罪の形の愚痴が放出された。

「すみません、電話を買い替えたらこんな音程の狂った保留音で」

「最近はみんなケータイだから電話会社が真面目に作らないんですよ。前のはよかったんですが」

ちなみにかかりつけ医はオペラ歌唱を長年習っているクラシック音楽好きで、わたしとはバレエやクラシック音楽の話をする仲である。だから新型コロナと花粉症由来の多忙にプラスして、買い替えたら思いがけずひどかった固定電話の保留音への憤懣をこぼしてしまったのだろう。

しかし、かかりつけ医が「あ、ところで今日は何でしたっけ」と、我に帰るまでの勢いは、保留音をちょっとでも聞いてしまった人すべてに放たれかねない感じだったのであった。新型コロナで他者と話す機会が激減していることも関係しているのかもしれないが。

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