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霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

祖母と人力車

母方の祖母の父、すなわちわたしの曾祖父・Aは病弱で、冬になると何度となく風邪を引き、人力車を呼んでは医者に行っていた。
そのころ、幼児だった祖母は、「人力車に乗る」ということがうらやましくてたまらず、毎回「みっちゃんも行くぅ〜」と騒ぎまくっていた。
あるとき、騒ぐばかりか泣きわめいて止まらないので、曾祖父は祖母を連れて医者に行った。すると、曾祖父の計略なのか、医者の茶目っ気なのかはわからないが、「じゃあ、お嬢ちゃんも診察してあげましょう」と、医者が診察器具を、幼い祖母の鼻の穴に突っ込んだのだ!
びっくりして泣き叫んだ祖母は、その後、曾祖父と医院を辞去して帰宅するまでの記憶が一切なかったという。そして、以後けっして、「みっちゃんも行くぅ〜」と言い出すことはなかったとか。