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映画『羊飼いと風船』@シネスイッチ銀座


映画『羊飼いと風船』予告編

 

気付いたら一日一回上映になっていたので岩波ホールチベット映画特集の前に。階段の壁に、パンフレットに使われている蔵西さんの絵がチベット生活解説パネルとして貼ってありました。パンフレットより一つ一つの絵が大き目なので、見ごたえあり。

f:id:Mmc:20210311212240j:plainhttps://twitter.com/kuranishitenten/status/1349357759641178113?s=20

 

https://twitter.com/kuranishitenten/status/1349357759641178113?s=20

映画は、夢や信仰が生活に結びついているチベット仏教の世界。スピリチュアルという言葉で表すには生々しく日々の生活と夢や信仰が密接に繋がっています。

そんな現実とひとつながりの夢のなか、草地の向こう、風紋で楊柳生地のような砂山を子どもたちが駆けていく風景には、日本の写真家・植田正治鳥取砂丘の幻想的な作品を思い出したり。

植田正治写真集:吹き抜ける風

 

いっぽう姉妹の関係のかすかな苦みには小津みを感じたり、おじいちゃんが亡くなって家に飛び込んでくるお父さんの顔のアップの照明とカメラワークにアニメっぽさを感じたり。

最後、彼女の決断は、風船のように宙に浮いたまま。そして子どもたちが風船から目を離せないように、観客は彼女から目を逸らすことはできなくなっています。夢の中で彼女の決断を見るかもしれません。

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買って帰ったパンフレットを眺めながら、日本では夢と仏教といえば明恵上人だな、などと考えています。

明恵 夢を生きる (講談社+α文庫)

明恵 夢を生きる (講談社+α文庫)

  • 作者:河合 隼雄
  • 発売日: 1995/10/17
  • メディア: 文庫