読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

2014-01-01から1年間の記事一覧

『天才スピヴェット』@渋谷ヒューマントラストシネマ

天才であることと、「自分はいらない子だ」と思い込んでいる10歳であることの孤独が交じり合って、胸を打ちます。天才じゃない観客が感情移入できるのは、誰もが持っている10歳のあのころの孤独を描き出しているからかなあ。すっかり子どもでなくなった観客…

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第6章』

前回、前々回と打って変わって泉野 明特集。一つ目の軍用レイバーとの対決はそれこそパトレイバーの本懐! と萌えますが、それに加えて映画『攻殻機動隊』の自分を人間だと思い込んでるロボットの男の逃げるシーンのパラフレーズが実写で見られて感激!二つ…

『至高のエトワール 〜パリ・オペラ座に生きて〜』

日本ではやらないオペラ座新作バレエやコンテンポラリー作品の数々に、まずもう猛烈に惹かれる。定番クラシック作品より、こういう作品のライブ・ビューイングが行われるべきだと思うんだけどなあ。ルテステュのオペラ座引退公演に、一足先に引退していた名…

『ドン・キホーテ』@東京文化会館

ボリショイのドン・キホーテ、まさかのドルネシア姫のシーンで涙腺崩壊! 何にって、耄碌じじいドン・キホーテの純情純粋っぷりにですよ。この美しい場面は全部、アレクセイ・ロパレービチのドン・キホーテの脳内から生み出されてるんだなあ、でも気づかずに…

『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』@有楽町ヒューマントラストシネマ

邦題が全然合ってない典型例なんじゃ……。このサブタイトルだったら、アルゲリッチが娘のカメラに向かって音楽論を延々、語るのを期待しちゃってもしかたないけど、中身は違うんです。そのせいか、途中で席を立つ人が少々。映画自体は興味深いですが、開幕し…

『まほろ駅前狂想曲』@ユーロスペース

前売り券買ってたのに今ごろ。冒頭、褌姿の麿赤児の素晴らしい肉体美!そして映りまくる町田駅前! 下の方しか映ってないけどそれはジョルナですよね、とか、その坂道の住宅街は玉川学園前では、と懐かしかった。しかしやはり行天がらみで被虐待児の問題を考…

『アリス・イン・ワンダーランド』@青山劇場

お誘い受けて見て来たミュージカルの『アリス・イン・ワンダーランド』、子ども向けかと思ったら、かなりシビアな大人向けの始まり。なにせ主人公がアリスはアリスでも、子持ちで離婚調停中、明日の昼までにボツ原稿の書き直しを命じられてる作家!ミュージ…

『ライナー・キュッヒルが贈るブラームスの世界』@ヤマハホール

聴いてきました。痺れました。心もですが、物理的に、腕が。なにせ重力感覚とか平衡感覚などまで操られるような凄い演奏! 知らず知らずに力が入ってたのか、一楽章だけで右腕が痺れてたり、歌の翼に、ならぬ、音の翼に完全に乗せられて、自分の足が床に着い…

うる星やつら映画版のワンシーンみたいな光景!

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第5章』

前回の第4章に続いてのカーシャ祭り、最高! 朝日新聞のアニメオタクコラムを書いてる有名なアニメオタク記者さんには滑って失速していて鑑賞がつらかったそうですが、そうかなあ? 後半のカーシャ祭りじゃない方はうる星やつらでのSFドタバタを思い出して面…

『イヴ・サンローラン』

『グレース・オブ・モナコ』でも服飾が楽しみだったけど、時代の重なるこちらは貴族の服にもなり得る服から、働く女性の服、男性のネクタイも襟も(ポロシャツでさえ!)太い再現具合まで質量ともに充実! 街中のシーンでの車両もよく揃えたなーと、ジャンル…

『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』

全俺、ガン泣き。もともとグレース・ケリーは毒親持ち、特に父親の方がひどいということは知られてたけど、そのあたりの話をここに絡めてきますかってとこで泣いた。毒親がリアルな人にとっては、ACがそこから離れて自分の居場所を開拓する話として心に迫る…

種村季弘の眼 迷宮の美術家たち@板橋区立美術館

10月19日までの種村季弘展のために西高島平へ。駅前でなにか食べてから迷宮に挑もうと思ったのだけど、スリーマートなる謎のコンビニと、牛すじカレーのあるラーメン屋以外にとくにお店はないみたい。高い建物はなく空が広くて、倉庫と高架道路と住宅街の街…

『大いなる沈黙へ』@ポレポレ東中野

見る前にカフェオレ2杯飲んだので、長い上映時間中、最後まで膀胱が持つか心配でしたが、トイレへの切迫感もなく、眠り込むこともなく、3時間近く、見入っていました。フォーカスするところが見る人によって変わる映画だろうと思います。わたし自身は父母そ…

ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン 2014【プログラムB】@サントリーホール

この日はかなりステージに近い席で、リムスキー=コルサコフとムソルグスキーでロシアデー。アンコールはシュトラウスのエジプト行進曲とエキゾチックに終了。ウィーンフィルメンバーが舞台からはけたら、とつぜんドゥダメルがまた一人で出てきて挨拶。こな…

ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン 2014【プログラムE】@サントリーホール

演奏が素晴らしすぎて、感想が箇条書きにしか出てきません。・今晩は皇太子さま(ヒゲじゃないほう)ご臨席。 ・ドゥダメルは昨年9月にスカラ座と来てリゴレット振ったときより痩せていた! ・ウィーンフィルのみなさんは仕事がとても愉しそう。松本大洋の『ピ…

空耳スナイパー

男はスナイパー。いや、間の悪いスナイパーだ。 どんなふうに間が悪いかというと、たとえば、十分に下調べした張り込み場所の屋上でターゲットを待ちかまえてたら、数年に一度の水道タンク点検が上ってきたり、ゴルフ場に潜んでターゲットが近付いてくるのを…

アウトレイジ・ラビット

「あのうさぎ野郎、半月前にもうちの畑で市場に出す直前のラディッシュを半ダース、喰い散らかしやがった……」マグレガーは柄の長い熊手を振り上げて走ったせいで、がくがくする膝に手を当てながらつぶやいた。「二度あることは三度あるって言うしな、今のう…

カレーあんぱんに改名してほしい

……焼きカレーパンが甘かった。カレー餡としか言いようがない、なにやらスパイシーで甘いなめらかなものが、これまた甘いパネトーネ生地に包まれていて、全体的に、というかパン生地も甘いので、隅から隅まで甘い。パン生地がパネトーネで甘いのはパッケージ…

日本SF展@世田谷文学館

来た見た買った。たぶん2時間か3時間くらいSF世界を彷徨ってました。わたしが会場に入った直後、SF嫌いのおかしなおっさん、いや、おじいさんが、わざわざ2階の展示室の入り口まで来てSFは文学じゃないとかって大声でディスってたのには閉口したけど、展示を…

東京バレエ団創立50周年 祝祭ガラ@NHKホール

NHKホールで東京バレエ団50周年記念公演。記念の大入袋が配られたんだけど、中身は今回のロゴ入りのえらい実用的な品物。遅れて席に着く時に使えと? 公演は、最初にチャイコフスキーの『眠れる森の美女』のパノラマが演奏され、同時に東京バレエ団がまだ東…

「たよりない現実、この世界の在りか」展@資生堂ギャラリー

http://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/これを書いている22日の金曜日までの展示。アリスの落ちたうさぎ穴にありそうな、あるいは村上春樹作品に出てくるようなホテル。不安でもって感覚を掻き回す、という点ではお化け屋敷にも似ているけれど、自…

『グランド・ブダペスト・ホテル』

エンドロールに流れる音楽や、その画面の隅々まで手の込んだ、工芸品のような映画。美術品のような女優、ティルダ・スウィントンも、ほかの役者たちも、完璧な作り込みでミニチュアのような世界を彩っている。まるで、シュテファン・ツヴァイクに供えられた…

『陸軍登戸研究所』@練馬区役所地下

暑いなか20年ぶりくらいに練馬駅で降りて、『陸軍登戸研究所』を見てきました。ずっと興味はあったのだけど、上映時間の長さと、チラシの、告発しているようでありながらなにかを煽るような衛生博覧会的なコピーの数々に、何度かのチャンスを逃しまくってい…

『マレフィセント』

百合映画っぽいつくりの『思い出のマーニー』予告を見たのもあるかもしれないけど、百合映画でした、『マレフィセント』。どうもごちそうさまでございました。だってラストのオーロラから王子様への笑顔は「ごめんね、わたしは彼女を選んだから」っていうメ…

SIMONDOLL 四谷シモン@そごう美術館

横浜そごう美術館で四谷シモン人形展。15年ほど前に新宿小田急で見て以来なので、美術雑誌の誌面でしか知らなかったあれやこれやから、2000年代の作品、ずっと気になっていた作成方法に衣装や靴の裏話も知ることができて、大満足。なにより人形たちの周囲を…

『テルマエ・ロマエII』@品川プリンスシネマ

テルマエ2は、コロッセオと演し物と観衆の再現などもたまらないものがあり、面白かったです。公開してだいぶ経って、一日二回上映になっても大入り満員! それで、最初は街の見物がてら日本橋で見る予定が売り切れで、品川まで移動しました。そこでも気づけ…

祝! トゥンドゥプ・ワンチェン is Free, Now!

北京五輪前の中国国内のチベット人の意見を聞いたドキュメンタリー映画を監督したことを罪として、不当な裁判で6年も収監され、一度は刑期を延長されていたトゥンドゥプ・ワンチェンさんが、今日とうとう、予告どおり解放されました! 天安門25周年で中国国…

『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章』@新宿ピカデリー

今日は実写パトレイバー第2章を見ると決めてた日! エピソード2のオープニング直前の千葉繁のメガネ的なシバシゲオな決め顔(と言っていいのかw でもあれは千葉繁にしかできないよね!)で一気にテンションUP! そして実写ならではの俳優陣によるギャグの数々…

イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる@国立新美術館

ムーミン展をギリギリで見に行って後悔したので、こちらの「イメージの力」展へは平日昼間に行ってみました。だがしかし、展示物をゆっくり見て、最後の記録映像も夢中になってみていたら、閉館時間過ぎて最後の退出者になってしまいました。たぶん3時間くら…