読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト

アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクトのBプロを見ましたが、凄かった! ロイヤルとイングリッシュ・ナショナルのプリンシパルばかり8名(一名はシニア・プリンシパル)と東京バレエ団が出演しているのだけど、バレエびっくり人間集合状態(ちなみに3年に一度のバレエの祭典をうちでは「バレエびっくり人間大集合」と呼んでいます)。

ちなみにうちわけは以下。
アリーナ・コジョカル
ロベルタ・マルケス
ローレン・カスバートソン
ヨハン・コボー
スティーヴン・マックレー
セルゲイ・ポルーニン(以上、英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル
ダリア・クリメントヴァ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ シニア・プリンシパル
ワディム・ムンタギロフ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ プリンシパル
高村順子
西村真由美
乾友子
奈良春夏
田中結子
吉川留衣
岸本夏未(以上、東京バレエ団

以下、印象に残ったものを書いていきます。「くるみ割り人形」のグラン・パ・ド・ドゥは、ソロも素晴らしいのですが、クリメントヴァとムンタギロフの英国らしい正統派なロマンチックさに酔いしれました。とにかく美しい! ムンタギロフの王子様っぷりが素敵です。

クラシック・バレエというと、とかく女性ダンサーにスポットライトが当たりがちですが、この公演では男性ダンサーのテクニックの凄さに客席が拍手半分どよめき半分、みたいなところがままあり、より楽しめました。特に「ディアナとアクテオン」でのポルーニンはすごかった。ロイヤルを退団しちゃうそうですが、残念すぎます。

ノイマイヤーの「椿姫」のショパンに載せたパ・ド・ドゥは、以前にギエムの同じ演目でとちりまくったピアニストがまたも不完全な伴奏で、ステージが素晴らしいだけに非常に残念。ショパンショパン弾きに弾かせなきゃだめだよね、やっぱり。

そして楽しみにしていたコボー、コジョカル、カスバートソンの「ザ・レッスン」は、三角関係かと思っていたら、なんとバレエ・スリラーでした! ちょっとヒッチコック風味。少女にしか見えないコジョカルの演技を見終わると、ファーストシーンでのレッスン室の散らかり具合や、ピアノの上にあったポアントの意味に思い当たり、じわーっと怖くなります。

そして平日しかやらないBプロのチケットを取った目当ての「ドン・キホーテ」のディベルティスマン。これはもう、トリにふさわしい凄いステージでした。マックレーとポルーニンはここでも凄テク発揮! もともとドン・キのバジルは『うる星やつら』の諸星あたる的ですが、あたるというよりラムちゃんのように宙を飛ぶ様をみていると、ますますマンガっぽく見えてきます。

演目はコジョカルのバランスに客席どよめくアダージョから、キトリのヴァリエーション、3幕のヴァリエーション、コボーとキトリの友人たちの踊り、バジルのヴァリエーション、キトリの3幕のヴァリエーション等などが、なんと8人4組(コジョカル/コボー以外は、カスバートソン/マックレー、クリメントヴァ/ムンタギロフ、マルケス/ポルーニン、だったような)のバジルとキトリがフレーズごとに入れ替わり、最後は4組すべてでのコーダでフィナーレ。どこのバジル/キトリを見ていいのか目移りする凄テク目白押しでした。

こういう風にプリンシパルたちが並んで踊る、というのは、よほどいろんなことがうまくいかないと「あり得ない」と思うのですよね。自分こそ唯一無比だから比べられたくないというプライドとか、いろいろあると思うし。バレエファンのほうでも、ドン・キの凄テクをあの一流ダンサー・この一流ダンサーで見比べてみたい、と夢想はしますが、それをまさか踊る方が企画してくれるとは思わなかった! すごく気分が上がって、ハッピーな気持ちで帰宅。