読んだり食べたり書き付けたり

霊長類ヒト科アゲアシトリ属ジュウバコツツキ目の妄想多め日録

『ダークナイト ライジング』は『パト2』のパクリか?

映画評論家・町山智浩さんのつぶやきで話題になっているこちらのエントリーを読んでみた。

http://ultrawoman.blog14.fc2.com/blog-entry-561.html
http://ultrawoman.blog14.fc2.com/blog-entry-559.html

わたしもたいがい押井原理主義者のつもりだけど、『ダークナイト ライジング』が『パト2』の設定をただパクっただけで、作劇上、破綻しているとは感じなかったなあ。

■「毒ガスを搭載した飛行船3機を上空に巡回させる→ゴッサムシティに核爆弾を搭載したトレーラーを3台巡回させる」
■「物語の中核をなす設定なのに、「ダークナイトライジング」の内部には、
核融合炉をトレーラに積む理由も、
・トレーラーを巡回させる理由も、
・なぜ3台なのか
の必然性も蓋然性も描かれない。
 映画を見た人は「何かおかしい」と思わなかったんだろうか?
 5月間ずっとトレーラを巡回させるの?
 おかしいと思うでしょ、普通は。」

核融合炉をトレーラーに積んで街中を巡回させるのは威嚇のためだろうし、トレーラーが複数台なのは撹乱のためだろうし。3台なのは2台じゃすぐアタリをつけられちゃうからだろうし(そもそも3という数字がピタゴラスの昔から「特別な数字」として、ラッキーセブンの7や13日の金曜日の13よりずっと根深く西欧思想においては重要な数字なわけで)。

5ヵ月間ずっとトレーラーを巡回させるのも、威嚇のためならそりゃ続けなきゃいかんでしょ。現実世界でもそんなバカバカしいことは独裁国家で行われてきているわけだし(文化革命時のハリボテの豚から北朝鮮の正しい座標に届かないミサイル等々)。

■「敵の頭目は外地帰り」っていうけど、ベインは柘植行人のようにゴッサムシティに「帰って来た」のか? そういう描写はなかったと思うが。

■「警察が無力化される/政府が事態悪化の責任を警察に押しつけて、警察に代えて自衛隊を東京に治安出動で展開する。→ゴッサムシティの警官たちが地下に閉じ込められる(警察がなぜ全員退場させられたかがこれで判った!)」

パト2でのこれは警察vs自衛隊の、同じ行政府のなかの拮抗する2つの勢力によるつばぜり合いが構図に含まれているけど、『ライジング』にそれはない。ベインが「独裁」しやすくするために警察をプラスチック爆弾で閉じ込めたのと、まったく構造が異なる。

「主人公の意を受けた刑事(松井刑事)が一人だけ敵のダミー会社をかぎ回る→ブレイク刑事が一人で、ベインの意図を探るために工事会社などを調べ回る。」っていうのもなー。

ブレイクは最終的にXX者になるわけで、一人だけ事情に詳しくなる必要性があると思うが。第一、その設定がなかったとしても、すでに群像劇で登場人物が多いのに、これ以上増やしてどうする? 映画的にコントロールできなくなるのでは?

それともドラマ/映画『相棒』のイタミン含むトリオ・ザ・捜一みたいなチームであるべき? でも多くの警官が閉じ込められている状況で、残り少ない警官がチームで行動してチームごと潰されたら後がないような。そんなリスク分散できないマネジメントをゴードンがするかどうか、という疑問。

「橋を落とす」場面や「地下爆破→爆風がマンホールから噴出」場面は似ていたとは思うけどね。ただ、それが『パト2』のオリジナルかというと、どうでしょうね?