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『ジプシーのとき』@恵比寿ガーデンシネマ

新装なってから初の恵比寿ガーデンシネマ(売店でおしゃれイートインし忘れた)のクストリッツァ特集で『ジプシーのとき』。『アンダーグラウンド』のようなファンタジックな描写はほとんどなく、ロマとマフィアがかっこ良くなく容赦無く描かれる、土ぼこりと家畜と泥の匂いで始まる映画。

園子温がダメな人はたぶんダメだけど、園子温好きはきっと好きだろうと思われる映画。まあ、『アンダーグラウンド』がそもそもそういう映画だけれど。

ただ、この映画は園子温的な軽やかさやポップさはなくて、人間の業が「そこでそうしたら、きっと……」「あぁ、やっぱり……」という予想される逃れられなさをどんどん突き付けてくる。果たして、自分が彼や彼女と同じ生まれ育ちだとしたら、同じ愚行、あるいはもっと愚かなことをしないといえるだろうか。そんなことを考えながら帰ってきた。

ところでやはり単館系は予告がさまざまで、見たい映画が増えますね。『オデッセイ』ではインディペンデンスデイ続編とかX-MENとかアメリカ国威発揚映画の予告続きで飽き飽きだったのとは大違い。

3本くらい見たくなったんだけど(1本は昨日書いたマイコ)、四人姉妹にカトリックのフランス人と結婚してほしかったのに、ユダヤ人アラブ人中国人、カトリックだけど黒人のコートジボワール人と、次々移民系と結婚されて憔悴するフランス人夫婦のコメディがおもしろそうだったな。フランスでは5人に1人が見た大ヒットだとか。

あと、ゲイ婚したらレイオフされちゃった老年に差し掛かってるおじさんカップルの苦境も興味あるけど、これは持ち家と子どものない身にとっては、結婚してたってけっこう身近で切実な問題で、ちょっと躊躇する。