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エイフマン・バレエ『アンナ・カレーニナ』@東京文化会館

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エイフマン・バレエの『アンナ・カレーニナ』を東京文化会館で。衣装や屋敷などが黒っぽくてゴスっぽいのがわたしは好きだけど、好みが分かれるところかもしれません。

それよりなにより、カレーニン役のセルゲイ・ヴォロブーエフがかっこよすぎて、妻のアンナ・カレーニナが不倫に走るストーリーの説得力が半減! とにかくカレーニンがかっこいいわ踊りは美しいわ指先まで全身表現力に満ち満ちてるわで凄いものを見ました。

対してヴロンスキー役は、レベルの高い群舞からカレーニン役ほど抜きん出ているようには見えず。原作のもうひと組のカップルのエピソードがざっくり削られている分、「こんな夫がいても、ぽっと出の若造との恋に情熱燃やすような理不尽が起こるのが人生」ということなのだろうか?

レーニンの、最初にジャケットをしゅぱーんと脱ぐシーンと脱いだあとの後ろ姿の息をのむ美しさ、最初にアンナとヴロンスキーのデート現場に踏み込む場面の、2階席だったので最初セットでしばらく首から下しか見えないにもかかわらず、怒りの表現が全身でなされている巧さ、そしてこの夫に哀願されたら比較してぽっと出の若造にしか見えないヴロンスキーと出奔しないだろうという帰ってきたオネーギンのような情熱。

マチュー・ガニオのような少女マンガの王子さまのような美しさではないのですが、とにかく美しい。若いダンサーや役柄が若くて美しいのは当たり前ですが、30代で中年役を踊って美しいというのは、自分が中年もすでに過ぎたせいか、よけい美しく見えたのかも。

バレエ団全体のレベルも高く、古典バレエなどでよくある、プリンシパルのペアが出てくるとその巧さとの対照で、それまで巧いなと思って見ていた群舞がもっさりして見えてくるようなこともいっさいなく、ストーリーに反して観劇体験としては爽快なものでした。時間的余裕がなくて、同バレエ団の『ロダン』を見られなかったのが残念過ぎたので、DVDを買いました。

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帰りはいつものビストロで。お目当てのヤングコーンのローストとそのひげのフリットが終わっていたのが残念!

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