『ビルマ、パゴダの影で』
ミャンマー軍政による少数民族や、宗教的少数派への迫害の事実を取材したドキュメンタリー*1。
潜入捜査みたいな撮影のわりには手持ち液晶カメラなどではないようで、画面の揺れやブレが少ない。しかし、画面上ではあっさりと軍政による観光客浸入区域で軍政に抵抗する人々に接触しているかのように淡々と時間が過ぎるが、ここまで渡りをつけるのにこの人たちはいったいどんな手を使ったのか? と驚嘆する。
しかし、迫害の事実を知るにはいい映画かもしれないが、この国の周囲にはクメール民族にその子女のためのクメール語で勉強ができる無料の中高一貫の寄宿学校(中高一貫)を作るというような政策を採るベトナムのように、少数民族とうまく折り合って運営されている国家もある。これに限らず同じアジアの、少数民族を抱える国家のほかの様態も対照させるかたちで入れ込んでもよかったのではないか。最初から最後まで「ビルマの軍政はこんなに酷い」というメッセージだけではなく、「じゃあどんな方法があるのか?」という道を示すために。