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サロメとロリータ、そしてノニータ

ケン・ラッセルのサロメ [DVD]
サロメ (岩波文庫)』を読んだり観たりすると、いつも思い出すのが、『ロリータ (新潮文庫)』だ。映画のほうはキューブリックのほうへの思い入れが強すぎて、というわけではなく、なんとなく機会がなくて、さいきんジェレミー・アイアンズasハンバートで映画化されたほうは観ていない。まあ、ファム・ファタルに嵌って墜ちていく役の多くなっていたジェレミー・アイアンズに、ちょっと食傷気味というのは理由としてあるかもしれない。

さて、なぜ『サロメ』で『ロリータ』を思い出すかといえば、単純にプロットが似ているという点に尽きる。ただ、『サロメ』ではヘロデ王と聖ヨハネの二人の人間に割り振られていた性格が、『ロリータ』ではほとんどハンバートひとりに背負わされているために、ロリータの母は死に、ヘロデ+ヨハネなハンバートも破滅することになるわけだ。

ところで、ウンベルト・エコの『文体練習』だったかと思うが、『ロリータ』のパロディである老女への愛を描いた短編『ノニータ』は爆笑モノ。うわ、イタリアにも清水義範が! と最初に読んだときは思ったものだ。その、エコの『文体練習』については、またのちほど。