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人を殺すことをなんとも思ってないノータリンを、なんとしても、事実を「編集」してでも止めようとしている『漢』の姿。一人の映画監督が、世界一の大国の大統領の運命を、つまりは世界の運命を左右しそうなのだ。
このクソみたいに出口のない世の中で、どうせ何やっても無駄なんだと思わせる世の中で、
こんなに生きる元気を与えてくれることがあるだろうか。
権力や財力や武力よりも強いものがこの世にある、あるはずだと純情にも愚鈍にも信じて、いや、もういちど信じてみたいから、
この映画がブッシュに勝つために出来る限りのことをしよう。
その姿に生きる元気を与えられた評論家のこの熱っぽい文章もまた、『漢』のパワーにあふれている。
欠点や整合性をただ論(あげつら)うんじゃなく、こういうパワーにあふれ、取り上げる作品の援護射撃になるのが評論の持つほんとのチカラだ。
「評論なんてツマンナイ」。そう思っているひとも、そうじゃないひとも、とりあえず、町山氏の6/25の日記を読んでみてください。